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  • 若い頃のカルロ・マリア・ジュリーニについて、プロデューサーのウォルター・レッグは、「彼が最も必要としたものはレパートリーだった」と書いている。しかし、ジュリーニは限られたレパートリーでも特に不自由することなく、自分がきちんと理解している作品しか指揮せず、やがて誰もが認める巨匠となった。人柄は誠実で、権力欲もなかった。ジュリーニが誰かとポストを争って蹴落とした...

    [続きを読む](2020.08.02)
  • 重く垂れこめた雲のようなメランコリーと、ダンスフロアの享楽。マンチェスターという町から発信される音楽のある意味で対照的なふたつの特徴を、図らずもクロスオーバーして見せたバンド……と言えば、誰しもジョイ・ディヴィジョンとニュー・オーダーを思い浮かべるに違いない。が、本稿の主人公は彼らではなく、ダンスフロアで誕生しながら、詩情あふれるムーディー

    [続きを読む](2020.07.14)
  • ジョン・カーペンター監督の『遊星からの物体X』(1982年)はリメイク映画である。原作は1938年に発表されたジョン・W・キャンベルJr.の短編小説「影が行く」で、1951年に初めて映画化された(製作はハワード・ホークス)。手短に言うと、原作は心理サスペンスとして怖く、ホークス製作版はおぞましい地球外生命体が出てくるモンスター映画として怖い。カーペンターは両...

    [続きを読む](2020.07.24)
  • ラシーヌの悲劇『フェードル』で、フェードルはある言葉に対して恐れに近い反応を見せる。それは人の名前、愛してはいけないのに愛してしまった義理の息子イポリートの名前である。フェードルはギリシャ神話に出てくるクレタ島の王ミノスの娘であり、アテナイの王テーゼの妻である。テーゼにはアマゾン(女性だけの部族)の女王アンティオペーとの間に子供がいる。それが立派な青年となっ...

    [続きを読む](2020.08.12)