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  • 現代音楽を得意とする指揮者には、総じて知的でクールなイメージがある。彼らが古典派やロマン派の作品を振ると、大抵の場合、音楽の細かい構造が透けて見えるような演奏になる。もやもやしたものが取り除かれ、分かりにくいと感じていたものが分かりやすくなり、クリアーに全体像が見えてくるのだ。

    [続きを読む](2021.04.03)
  • 自分が聴き親しんできたアルバムがあって、リリースから10年以上経った頃に「ちょっと納得いってないからレコーディングし直すわ」とアーティストに言われたら、多分不可解な気持ちを抱くに違いない。しかもそれが、高く評価されて大ヒットを記録した作品なら尚更のこと。完璧じゃない部分も含めて愛されているなら、それで良いのではないかと。もちろんロック・アルバムをジャズ風に作...

    [続きを読む](2021.03.25)
  • 挑戦的なテーマで数々の名作を手掛けたオーストリア出身の名監督フレッド・ジンネマンは、若い頃ロバート・フラハティの助手を務めていたことがあり、その経験を生涯の糧としていた。自伝にも「フラハティのドキュメンタリー・アプローチは、『山河遥かなり』、『男たち』、『真昼の決闘』、『尼僧物語』、『ジュリア』や他の映画を監督していた時に、私の脳裏にまざまざと甦った。職業的...

    [続きを読む](2021.04.14)
  • 谷崎潤一郎の『人面疽』は、『新小説』(1918年3月号)に掲載された怪奇風味の短編小説である。不気味な映画の謎に迫るサスペンスフルな話でありながら、特異な美意識が注ぎ込まれていて、その味わいは神秘的とも猟奇的とも言える複雑なものとなっている。後に映画製作に関わることになる谷崎は、当初これを映画化の第一作目として考えていた。

    [続きを読む](2021.03.13)