映画 MOVIE

名画鑑賞サロン

忘れ得ぬ人と映画

“人と映画 ”についてのエッセイ。
忘れられない(忘れてほしくない)作品や
スクリーンで永遠の生命を獲得した男優、女優の魅力を
今昔問わず、国問わず、自由な形式で語る。

  • アラン・ドロンについて書かれた記事に必ずと言っていいほど出てくるトピックが2つある。1960年の映画『太陽がいっぱい』で人気が爆発したこと、そして美男子の代名詞的存在であることだ。今でも「最高の美男俳優は誰か」と質問されて彼の名前を挙げる人は多い。そのイメージからは、華やかで輝かしい人生しか想像できないだろう。しかし、実際のドロンは順調にスター街道を走り続け...

    [続きを読む](2024.01.19)
  • 世のため人のためにならない悪人どもを、金を貰って殺す。池波正太郎原作の『仕掛人・藤枝梅安』は1972年に発表され、その年のうちにテレビドラマ化された。タイトルは『必殺仕掛人』、初回放送日は1972年9月2日。当時は『木枯し紋次郎』が人気を博していたが、数ヶ月後には視聴率で追い越し、放送が2ヶ月延長され、さらに劇場版も作られた。『必殺仕掛人』のヒットがなければ...

    [続きを読む](2023.09.16)
  • 上原謙は戦前の松竹を代表する二枚目スターである。1935年のデビュー時から絶世の美男子として注目を浴び、佐分利信、佐野周二と共に「松竹三羽烏」と称された。かつて杉村春子は上原のことを「いい男で仰ぎ見るような人」と評していたが、それは誇張でも何でもない。天下の二枚目といえば、まず上原謙である。戦前の代表作は、『有りがたうさん』(1935年)、『浅草の灯』(19...

    [続きを読む](2023.05.15)
  • ファンを装って大女優に近付き、従順な付き人になるが、やがて本性を現し、周囲の恩人たちを踏みつけて成り上がる女。この女にはモラルのかけらもなく、良心もない。あるのは飽くなき野心と才能のみ。彼女の名前はイヴ・ハリントン。1951年の映画『イヴの総て』の登場人物である。イヴ(アン・バクスター)はまず大女優マーゴ(ベティ・デイヴィス)の友人であるカレン(セレステ・ホ...

    [続きを読む](2022.09.14)
  • 『広島・長崎における原子爆弾の影響』は、1945年9月から10月にかけて広島・長崎の様子を撮った記録映像である。製作したのは日本映画社。原爆投下の爆心から数百メートル地点、1キロ地点、2キロ地点、5キロ地点…とそれぞれの場所における被害状況をカメラにおさめ、物理学、生物学、植物学などの面から原爆の影響を細かく検証している。この映像はGHQに没収され、お蔵入り...

    [続きを読む](2022.07.17)