映画 MOVIE

名画鑑賞サロン

忘れ得ぬ人と映画

“人と映画 ”についてのエッセイ。
忘れられない(忘れてほしくない)作品や
スクリーンで永遠の生命を獲得した男優、女優の魅力を
今昔問わず、国問わず、自由な形式で語る。

  • リノ・ヴァンチュラは当たり前のようにその役になりきり、リアルな存在感を出せる人である。無駄に構えず、カッコをつけず、堂に入った演技をするので、どんな役をやっても違和感がない。インパクトのあるギャング役を演じた後に、お堅い刑事役を演じても、不自然な感じがしない。実に得難いキャラクターである。容姿端麗な二枚目ではないが、中年の渋い魅力に溢れており、アクションにも...

    [続きを読む](2025.10.12)
  • 京マチ子は『羅生門』(1950年)や『雨月物語』(1953年)など数々の名作に出演し、世界的に知られた大女優である。その出演作が海外の映画賞をいくつも受賞したことから、「グランプリ女優」と呼ばれたこともある。美人でプロポーションが抜群というだけでなく、演技がうまく、役柄も幅広かった。出演作は約100本、代表作は十指に余る。代表作が数本あるだけでも役者として恵...

    [続きを読む](2025.03.19)
  • アラン・ドロンについて書かれた記事に必ずと言っていいほど出てくるトピックが2つある。1960年の映画『太陽がいっぱい』で人気が爆発したこと、そして美男子の代名詞的存在であることだ。今でも「最高の美男俳優は誰か」と質問されて彼の名前を挙げる人は多い。そのイメージからは、華やかで輝かしい人生しか想像できないだろう。しかし、実際のドロンは順調にスター街道を走り続け...

    [続きを読む](2024.01.19)
  • 世のため人のためにならない悪人どもを、金を貰って殺す。池波正太郎原作の『仕掛人・藤枝梅安』は1972年に発表され、その年のうちにテレビドラマ化された。タイトルは『必殺仕掛人』、初回放送日は1972年9月2日。当時は『木枯し紋次郎』が人気を博していたが、数ヶ月後には視聴率で追い越し、放送が2ヶ月延長され、さらに劇場版も作られた。『必殺仕掛人』のヒットがなければ...

    [続きを読む](2023.09.16)
  • 上原謙は戦前の松竹を代表する二枚目スターである。1935年のデビュー時から絶世の美男子として注目を浴び、佐分利信、佐野周二と共に「松竹三羽烏」と称された。かつて杉村春子は上原のことを「いい男で仰ぎ見るような人」と評していたが、それは誇張でも何でもない。天下の二枚目といえば、まず上原謙である。戦前の代表作は、『有りがたうさん』(1935年)、『浅草の灯』(19...

    [続きを読む](2023.05.15)