音楽 POP/ROCK

名盤再考

Reconsidering Masterpiece

無数のアーティストがデビューし、無数の作品がリリースされ、
新しい情報が堆積してゆく中、ともすると過去の名作は埋もれてしまいがち。
CMやドラマで頻繁に使用されれば、その時だけはマスコミも思い出したように取り上げる。
一方、そうでないものには永久にスポットライトが当たらない。
それも世の常人の常なのだろうが、“古典と呼ぶにはあまりに新鮮で魅力的な作品なのに”と
ヤキモキしている人は絶対にいるはず。そんな人の気持ちに応えるべく、
今日性と一見無縁そうだが、今なお私達の心に多くのことを訴えかけるディスクを選定し、
力をこめて紹介する。

  • エールの『ムーン・サファリ』の全編再現ライヴが素晴らしいらしい。『ムーン・サファリ』はご存知、ニコラ・ゴダンとジャン=ブノワ・ダンケルのフレンチ・デュオが1998年に送り出し、昨年発売25周年を迎えたデビュー・アルバムだ。ふたりは6作目にあたる『月世界旅行』(2012年/ジョルジュ・メリエス監督のサイレントSF映画のカラー版のために制作したサントラを再構成し...

    [続きを読む](2024.04.19)
  • 直後に来日したことも関係しているのか、日本での報道を見ている限り、2024年2月初めに開催された第66回グラミー賞の受賞式の話題は、テイラー・スウィフトが独占してしまった感がある。確かにテイラーは史上初めて4度目の年間最優秀アルバム賞に輝いて、見事に記録を更新。ただ、受賞数で言えば今回は2部門のみで、最多の4冠を達成したのはフィービー・ブリジャーズだったし、...

    [続きを読む](2024.03.21)
  • 先日1980年代の英国の音楽番組について調べていた時に、偶然バナナラマが当時の人気番組『Top of the Pops』で「Shy Boy」を披露する1982年の映像に行き着いた。ヘタウマと言ったら失礼かもしれないが、脱力系のパフォーマンスを見ながら、本当にスペシャルなガールズ・グループだったなあとしみじみ思った。殊更素晴らしい歌唱力に恵まれていたわけでもな...

    [続きを読む](2024.02.21)
  • 昔はスルーされたけど、今では差別的だとかステレオタイプ化を助長するとして使用が憚られる言葉/表現が世の中にはたくさんある。その手の言葉/表現を含むポップソングとして必ず例に挙がるのが、パティ・スミスの「Rock and roll N****」やジェネシスの「Illegal Alien」、もしくはエルトン・ジョンの「Island Girl」辺りで、あのバンド・...

    [続きを読む](2024.01.26)
  • 「信じて欲しい、俺は本気でラップ・アルバムを作ろうとした。でも今回は、こっちの方角に風に運ばれたんだ」これは、さる2023年11月にアンドレ3000ことラッパー/プロデューサーのアンドレ・ベンジャミンが48歳にして発表した、ソロ・デビュー作『New Blue Sun』のオープニング・トラックのタイトルだ。つまりここでのアンドレはラップをしていない。代わりにな...

    [続きを読む](2023.12.26)

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