音楽 CLASSIC
  • ピアノの音には重みがあるが、デュナーミクやアゴーギクに変な癖がなく、語り口は比較的なめらか。技巧も冴えている。両端楽章のヴァイオリンはきびきびしていて清洌だが、低弦の重みもしっかりと伝わってくる。オッテルローのこういうところは凄く上手いと思う(第1楽章コーダでは、ソリストのテンポと一部ズレているが)。

    [続きを読む](2017.12.20)
  • 歴史的名演は音質のハンデを超越すると言いたいところだが、何種類かあるシュナーベルの「皇帝」の音源は、この大家の音色の微妙なニュアンスを捉えきれていない。その中では戦後の録音が最もマシである。ガリエラの指揮は溌剌としていて、デュナーミクもしなやかだ。シュナーベルの音は陰翳があり、時に銀色の光を放ち軽やかに舞う。ステレオで聴けばより感動的だったろう。

    [続きを読む](2017.12.17)
  • カッツはルーマニアのピアニスト。正統派のピアニズムで、奇をてらうことはない。第1楽章のピアノは毅然としていて、勢いもある。分散和音の表現にも清冽さが感じられる。が、オーケストラの響きは(私が聴いたレコードの音質が貧弱なせいか)いまひとつ潤いに欠ける。第2楽章はバルビの指揮が素晴らしい。冒頭は深遠な美しさだ。ピアノの音は明瞭だが、やや単調。

    [続きを読む](2017.12.16)
  • 第1楽章のピアノは流麗。オーケストラの方は各パートの冴えた音色や美技で魅せる。何しろショルティ指揮のシカゴ響なので巧い。迫力も十分ある。ピアノだけ取り出すと、優等生的な気取りが感じられなくもないが、真逆のアプローチで鳴らされるオーケストラの力によって中和されている印象。第2楽章は冒頭の弦のアンサンブルが精妙で、フレージングも適切。

    [続きを読む](2017.12.08)
  • ベートーヴェンが完成させた最後の協奏曲である。作曲年は1809年。いわゆる「傑作の森」の時期に書かれた大作で、「皇帝」の異名にふさわしいスケールと風格を備えているが、これは作曲家自身による命名ではなく、出版人のJ.B.クラマーによるものである。作品はルドルフ大公に献呈された。1809年といえば、ウィーンがフランス軍に占領されていた年であり、

    [続きを読む](2017.12.05)

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