音楽 CLASSIC

楽の森

不滅の作曲家・作品

一度聴いただけなのに忘れられない音楽。なんとなく繰り返し聴いている音楽。
それらはどのようにしてこの世に生まれたのだろう。
ここでは作曲家/作品に焦点を当てながら、作曲経緯やエピソードを紹介、
森のように深いクラシックの世界に踏み込みたい。
文●阿部十三

  • 幻想交響曲を作曲した後、オペラ作曲家としての成功を夢見た30代半ばのエクトル・ベルリオーズは、1838年にオペラ『ベンヴェヌート・チェッリーニ』を完成させた。16世紀のローマに実在した伝説的な彫金師のロマンス、大胆不敵な行状、窮地からの大逆転を描いた話である。しかしこのオペラは初演後まもなく打ち切りとなり、惨憺たる失敗に終わった。それでもベルリオーズは精魂込...

    [続きを読む](2019.10.17)
  • 「ハフナー」は活力と躍動感にあふれた傑作である。明るい雰囲気が支配的で、陰翳もあるが暗さや切なさのなかに沈むことは全くない。音楽は輝きながら、迷いなく、勢いよく前進する。もともとは祝典のために書かれたという事情も大いに影響しているのだろう。作曲の経緯はやや入り組んでいる。モーツァルトはまず1776年にザルツブルクのハフナー家の結婚式のためにセレナードを作曲し...

    [続きを読む](2019.09.26)
  • ベートーヴェンが完成させたピアノ協奏曲は全部で5つあるが、短調を主調としているのは第3番のみである。作品の構想が練られたのは1797年頃。1800年頃にほぼ作曲し終え、そこから手を加えて1803年に完成させたという。一方で、1803年4月5日の初演を迎えるまで、ピアノ部分のスコアはほとんど書かれておらず、ベートーヴェンが即興で演奏したという逸話も伝わっている...

    [続きを読む](2019.09.03)
  • かつて名ヴァイオリニストたちが盛んに作曲し、人気を博していた時代があった。古くはコレッリ、ヴィオッティ、タルティーニ、パガニーニ、シュポーア、19世紀生まれだと、ヴィエニャフスキ、サラサーテ、イザイ、エネスコなどの作品は、今でも演奏され、聴衆を魅了している。1820年、ベルギーに生まれたアンリ・ヴュータンは、パガニーニやシュポーアの次世代にあたるヴィルトゥオ...

    [続きを読む](2019.08.10)
  • ブルックナーの交響曲第5番は、緻密に構成された大曲で、骨組みは複雑ながらもがっちりとしている。第7番や第8番などに比べると硬質な感触があるが、その重たい鉄の扉を開けた向こう側に、我々を圧倒する音の世界が広がっている。傑作と評されながらも、とっつきにくいと言われることがあるのは、その扉を開けるのに少し時間がかかるからだ。各楽章の主題の扱いは細かく計算され、旋律...

    [続きを読む](2019.06.04)

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