音楽 CLASSIC

匠の森

不滅の指揮者・演奏家

20世紀は「指揮者」と「演奏家」の時代と言われる。
神がかった才能と魔物のような個性を持った表現者が続々と現れ、聴衆を魅了した世紀。
ここではそのうち何人紹介することが出来るかわからないが、
なるべく濃い密度で、音楽の「匠」たちのプロフィールと遺産を紹介していきたい。
文●阿部十三

  • ブルーノ・ワルターはクラシック音楽を聴きはじめた人の前に、モーツァルトやベートーヴェンの作品の指揮者として現れる。そして、ライナーノーツやレビューに書かれている「温厚な人柄」「モラリスト」といった人物評により、大指揮者には稀な人格者のイメージを植え付けられる。これはワルター受容の一つのパターンと言えるだろう。しかし、そんな人物像を前提にして音源をあれこれ聴い...

    [続きを読む](2016.12.11)
  • ヴィルヘルム・フルトヴェングラーが没入を重んじた指揮者だったことは、遺された録音や映像に接すればすぐに分かる。その手記にも、集中と没頭なき芸術が「芸術全般の悲劇の始まり」であると書かれている。彼にとって、単に楽譜に忠実なだけの演奏は非創造的であり、個性的な審美観を振り回す指揮は疑わしいものであった。「私にとって重要なのは、魂に訴えるか否かである」(『フルトヴ...

    [続きを読む](2016.10.19)
  • ハンス・リヒター=ハーザーはかつてヨーロッパでもアメリカでも称賛されたドイツのピアニストである。遺された音源が限られているせいか、今では地味な存在になっているが、実際の音楽性は地味と言われるようなものでは全くない。生まれたのは1912年1月6日。13歳でドレスデン・アカデミーに入学し、ピアノだけでなくヴァイオリン、打楽器、指揮法も学んだ。

    [続きを読む](2016.05.29)
  • 木管を強調させるやり方は、クレンペラーが意識して行っていたことである。何しろ「木管がきこえるということがもっとも重要なのです」とまで言い切っているのだ。その傾向が昔からあったことは、1928年に録音されたR.シュトラウスの「7つのヴェールの踊り」を聴くとわかる。これは極めて貴重な音源だ。録音年代を忘れるほど音質が良いこともあり、

    [続きを読む](2016.03.21)
  • 若い頃、オットー・クレンペラーはマーラーの交響曲第2番「復活」をピアノ用に編曲して暗譜で演奏し、作曲者に認められた。そして、そのとき書いてもらった推薦状のおかげで、プラハの歌劇場の指揮者になることができた。1907年のことである。「すぐれた音楽家クレンペラー氏をご推薦申し上げます。氏はまだ若年にもかかわらず、すでに経験豊かであり、指揮者の

    [続きを読む](2016.03.19)