音楽 CLASSIC

匠の森

不滅の指揮者・演奏家

20世紀は「指揮者」と「演奏家」の時代と言われる。
神がかった才能と魔物のような個性を持った表現者が続々と現れ、聴衆を魅了した世紀。
ここではそのうち何人紹介することが出来るかわからないが、
なるべく濃い密度で、音楽の「匠」たちのプロフィールと遺産を紹介していきたい。
文●阿部十三

  • ひとつ忘れられない思い出がある。2006年11月、サントリーホールでモーツァルトの交響曲第39番、第40番、第41番を聴いた時のことだ。3作とも有名すぎるほど有名な作品である。それをウィーンフィルが演奏する。こちらはさぞ魅惑的なモーツァルトが聴けるのだろうと期待する。しかし指揮者はアーノンクール。普通の演奏はしないだろう、という不安にも似た予感がふと脳裏をよ...

    [続きを読む](2011.06.18)
  • 1年以上前のこと、あるコンサートの告知に目が釘付けになった。ニコラウス・アーノンクール指揮、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスによるJ.S.バッハの『ミサ曲ロ短調』。会場はNHKホール。公演は2010年10月に行われるという。私はチケットの発売日を確認し、発売初日に購入した。キャッチコピーは「アーノンクール最後の来日公演!」ーーこういう類の宣伝文句は(本人...

    [続きを読む](2011.06.17)
  • 戦前から戦中にかけて海外でその実力を認められ、高い評価を得ていた世界的ヴァイオリニスト、諏訪根自子(すわ・ねじこ)。おそらく彼女の名前を見て胸を熱くするのはかなり上の世代だろう。諏訪のファンだった城山三郎は「日本が初めて生んだ知的な美人という気がした」と述べていたそうだ。たしかに綺麗な顔立ちである。一目でそれと分かる美人ヴァイオリニスト。ただ、音楽的にはどう...

    [続きを読む](2011.06.07)