音楽 CLASSIC

匠の森

不滅の指揮者・演奏家

20世紀は「指揮者」と「演奏家」の時代と言われる。
神がかった才能と魔物のような個性を持った表現者が続々と現れ、聴衆を魅了した世紀。
ここではそのうち何人紹介することが出来るかわからないが、
なるべく濃い密度で、音楽の「匠」たちのプロフィールと遺産を紹介していきたい。
文●阿部十三

  • アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリは、同じ作品を徹底的に繰り返し練習し、表現の細かい部分まで磨き上げ、精巧無比な技術と強靭な理性をもって感情の抑揚を統御し、コンサートや録音に臨んでいた。1971年にドイツ・グラモフォンと契約してからの一連の録音は、まさにそんなミケランジェリの美学の結晶といえる。そこには一回性の感情表現はなく、完璧なアーティキュレーシ...

    [続きを読む](2013.10.04)