文化 CULTURE

花と冒険[考察・エッセイ]

崖に咲く花はなぜ美しいのか

「文化」についてのエッセイ。
テーマは文学、思想、民俗、絵画、漫画、アイドル、ゲーム、玩具、世相...。
ハイカルチャーとサブカルチャーの境も関係なく、流行も関係なく、
日常の死角にある「文化」を語る。

  • 小倉柳村は明治13年、14年に出版された東京名所絵で知られる絵師である。本名も生没年も素性も明らかになっていない。『浮世絵師伝』(井上和雄著 昭和6年発行)、『清親と安治』(近藤市太郎著 昭和19年発行)によると、柳村作として伝えられる絵は数えるほどしかない。東京名所絵の「湯島之景」、「浅草観音夜景」、「日本橋夜景」、「愛宕山之景」、「八ツ山之景」、「向島八...

    [続きを読む](2019.09.10)
  • 作者の高木彬光は、『呪縛の家』や『魔弾の射手』などで〈読者への挑戦〉を行っている。1948年に坂口安吾が『不連続殺人事件』で話題をさらった時のように、小説が結末を迎える前に事件の謎を解いた読者に、賞金を出す企画である。『呪縛の家』は連載中に酷評されたこともあり、作者もいきり立ったのだろう、「ここで、最後のヒントを与えましょう。ここまで書いてわからないようじゃ...

    [続きを読む](2019.08.04)
  • 高木彬光のデビュー作『刺青殺人事件』で神津恭介が登場するタイミングは完璧だった。密室で他殺死体が見つかり、その後も残虐な殺人が続き、謎が謎を呼び、警察もお手上げ状態となり、ページ数も残すところ4分の1になろうかという時、この美貌の天才探偵が突然登場し、あっけなく密室の謎を解き、真犯人の正体を暴いたのだ。これ以上おいしい登場の仕方はない。謎解きの方法も鮮やかで...

    [続きを読む](2019.07.27)
  • 室生犀星の晩年に連載・刊行された『かげろうの日記遺文』は、それまでに40作以上書かれた「王朝もの」の掉尾を飾る傑作である。1959年に野間文芸賞を受賞した時、銓衡委員の一人、亀井勝一郎は次のように評した。「女びとなるものへの、これほど夢ふかい作品を私は知らない。ちょっと読みにくい文章だが、それが何か薄明のやうな光りを放って、時に執念は凄く、また陰翳のふかい性...

    [続きを読む](2019.06.14)
  • 校正おそるべし、とは「後生畏るべし」のもじりで、編集や校正の経験者なら一度は聞いたことがある箴言みたいなものだ。最初に言いだしたのは「東京日日新聞」の社長、福地桜痴らしい。たしかに校正は怖い。奥が深い。著名な作家の全集には、すぐれた編集者や校正者が関わっているはずなのに、それでもミスがある。

    [続きを読む](2019.05.05)

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