文化 CULTURE

花と冒険[考察・エッセイ]

崖に咲く花はなぜ美しいのか

「文化」についてのエッセイ。
テーマは文学、思想、民俗、絵画、漫画、アイドル、ゲーム、玩具、世相...。
ハイカルチャーとサブカルチャーの境も関係なく、流行も関係なく、
日常の死角にある「文化」を語る。

  • 昔、絵画教室の番組を見ていたことがある。講師は外国人の画家で、よく喋る人だった。その音声のせいで絵を描いている音が少ししか聞こえない。それが不満だった。私は絵を学ぶのではなく、絵筆とキャンバスが接する音を味わうことを目的として見ていたのだ。特定の音を聞いてゾクゾクすることがある。聴覚から官能をくすぐられるのだ。こういった反応を「Autonomous Sens...

    [続きを読む](2020.03.28)
  • 沖縄に伝わる古い歌謡「オモロ」を集めた『おもろさうし』を読んでいると、言霊の力について考えたくなる。『おもろさうし』は全22巻の歌謡集で、第1巻は1531年、第22巻は1623年頃に成立したと言われている。その歌数は1554首、重複しているものを除くと1248首である。言霊といえば、まず言及すべきは『万葉集』だろう。巻十三には、言霊の二文字が入った有名な歌が...

    [続きを読む](2020.02.16)
  • 「ツィヴィールクラージェ」というドイツの言葉がある。市民の(Zivil)勇気(courage)で、Zivilcourage。『飛ぶ教室』(2018年冬号)に掲載された那須田淳氏の「眠りの精とツィヴィールクラージェ」によると、ナチス政権の時代に反ナチの立場で抵抗した「白バラ」の活動などから広まった言葉で、ドイツの子どもの文化や教育の根底を支えている理念だという...

    [続きを読む](2020.01.13)
  • 中島敦の『光と風と夢』は、作家ロバート・ルイス・スティーヴンソンの日記という体裁で書かれている。しかし、その言葉はあくまでも中島自身のもの、彼の思想ないし信条の投影である。「私は、小説が書物の中で最上(或いは最強)のものであることを疑わない。読者にのりうつり、其の魂を奪い、其の血となり肉と化して完全に吸収され尽すのは、小説の他にない」哲学書や思想書ではなく、...

    [続きを読む](2019.12.28)
  • 前作の失敗を踏まえ、設定やストーリーを改良し、2作目『狼男』(1941年)が製作された。主演は怪優ロン・チェイニーの息子、ロン・チェイニー・ジュニアである。これが大ヒットし、ようやく人狼はホラー映画の定番モンスターとなった。『狼男』の主人公ラリー(ロン・チェイニー・ジュニア)も、やはり人狼に咬まれた哀れな男だ。気のやさしい大男で、情けないところもある。

    [続きを読む](2019.11.28)

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