文化 CULTURE

花と冒険[考察・エッセイ]

崖に咲く花はなぜ美しいのか

「文化」についてのエッセイ。
テーマは文学、思想、民俗、絵画、漫画、アイドル、ゲーム、玩具、世相...。
ハイカルチャーとサブカルチャーの境も関係なく、流行も関係なく、
日常の死角にある「文化」を語る。

  • アナトール・フランスの『神々は渇く』は、フランス革命期の恐怖政治とそれに巻き込まれる人々を描いた歴史小説で、1911年11月から1912年1月にかけて『パリ評論』誌に掲載され、1912年6月に単行本として刊行された。多くの資料に基づいて組まれたそのプロットは老練、緻密な風俗描写は圧巻というほかなく、読者を一人残らず18世紀末の騒乱の体験者にしてしまうようなリ...

    [続きを読む](2017.05.06)
  • ドストエフスキーの『死の家の記録』によると、一人の人間を潰して破滅させる最も恐ろしい罰は、一から十まで全く無益で無意味な作業をさせることらしい。意味と目的と達成から切り離されたその罰は、「たとえば一つの桶から別の桶に水を移し、その桶からまたもとの桶に移すとか、ひたすら砂を槌で叩くとか、一つの場所から別の場所に土の山を移して、また元に戻すといった作業」のことを...

    [続きを読む](2017.04.08)
  • 苦悶その物が生命である。これは岩野泡鳴が1906年に発表した評論『神秘的半獣主義』の中に出てくる言葉だ。泡鳴に言わせると、苦悶とは解決できるものではなく、これを解決しようとするのは、悲劇を喜劇に堕落させることであり、「無終無決の苦悶を活現してこそ、初めて真の悲劇」となるのだった。泡鳴はその主義を血肉とする小説を書いた。悲劇といっても、彼のそれはお涙頂戴ものと...

    [続きを読む](2017.02.25)
  • ムード音楽は、マントヴァーニの「シャルメーヌ」が発売された1950年代に人気を得て、パーシー・フェイスの「夏の日の恋」が爆発的にヒットした1960年頃から各国で大衆化し、1980年代まで量産された。はかないブームのようにみなす人もいるが、これは数十年も続いた音楽スタイルであり、一過性の流行現象として扱うべきではない。多くのムード音楽には原曲がある。それに魅惑...

    [続きを読む](2017.01.28)
  • 2016年のモーニング娘。’16は、例年に比べてシングルのリリースが少なく、オリジナル・アルバムも出さなかったが、その一方で、コンサートの内容が驚くほど魅力的だったり、新メンバーが発表されたりと、結成20年を迎える前にポジティヴな変化を感じさせる出来事がいくつかあった。それらのことについて、まとめて書いておきたいと思う。2016年11月23日に発売された62...

    [続きを読む](2016.12.24)