文化 CULTURE

花と冒険[考察・エッセイ]

崖に咲く花はなぜ美しいのか

「文化」についてのエッセイ。
テーマは文学、思想、民俗、絵画、漫画、アイドル、ゲーム、玩具、世相...。
ハイカルチャーとサブカルチャーの境も関係なく、流行も関係なく、
日常の死角にある「文化」を語る。

  • 谷崎潤一郎の『人面疽』は、『新小説』(1918年3月号)に掲載された怪奇風味の短編小説である。不気味な映画の謎に迫るサスペンスフルな話でありながら、特異な美意識が注ぎ込まれていて、その味わいは神秘的とも猟奇的とも言える複雑なものとなっている。後に映画製作に関わることになる谷崎は、当初これを映画化の第一作目として考えていた。

    [続きを読む](2021.03.13)
  • 幼い頃、田舎の実家に行き、薄暗い廊下から2階へと続く狭い階段を見上げたとき、何か不思議なものを見るような感覚に襲われた。それはコンクリートのマンションに住んでいた私にとって、日本家屋の2階というものを意識した初めての体験だった。私は何とも言いようのない違和感を抱き、階段から目を背けた。その違和感は8歳くらいから好奇心に変わったが、それまで2階というのはちょっ...

    [続きを読む](2021.01.27)
  • それまで平凡に暮らしていたのに、突然何か不条理なことと関わり、つい深入りしてしまい、人生の暗部に落ちる人がいる。デヴィッド・リンチ監督の映画『ブルー・ベルベット』(1986年)では、好奇心旺盛な青年ジェフリーがそういう目に遭う。父親が病気になったため、実家に戻ってきた大学生のジェフリー(カイル・マクラクラン)は、ある日、野原で切り落とされた人間の耳を見つける...

    [続きを読む](2020.12.02)
  • 聴けば一瞬でこの人のものだと分かる唯一無二の声である。小学2年だった私は歌詞の意味を理解できないまま、綺麗な旋律と純粋な歌声に惹かれていた。それは聴く前と聴いた後とで周りの風景が違って見えるほどの「SENSATIONAL」な体験であった。今でも彼女の歌を聴くと、当時の感覚がよみがえり、体が浮かぶような心地を覚える。この不思議な魔法が解けることは今後もないだろ...

    [続きを読む](2020.10.03)
  • ラシーヌの悲劇『フェードル』で、フェードルはある言葉に対して恐れに近い反応を見せる。それは人の名前、愛してはいけないのに愛してしまった義理の息子イポリートの名前である。フェードルはギリシャ神話に出てくるクレタ島の王ミノスの娘であり、アテナイの王テーゼの妻である。テーゼにはアマゾン(女性だけの部族)の女王アンティオペーとの間に子供がいる。それが立派な青年となっ...

    [続きを読む](2020.08.12)

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