文化 CULTURE

花と冒険[考察・エッセイ]

崖に咲く花はなぜ美しいのか

「文化」についてのエッセイ。
テーマは文学、思想、民俗、絵画、漫画、アイドル、ゲーム、玩具、世相...。
ハイカルチャーとサブカルチャーの境も関係なく、流行も関係なく、
日常の死角にある「文化」を語る。

  • その日、財布はいつになく膨れていた。ターゲットはモンブランの限定万年筆「ヘミングウェイ・モデル」。武者震いしつつ、いざ鎌倉! のはずだったのだが……。あれは7月の暑い日だったと記憶している。あの日あの時の、自分の行動の由って来るところを、今以て説明できない。というのも、行きつけの文房具屋(Y堂本店)がかつて万年筆売場を設けていた馬車道のビルを目指してバスに

    [続きを読む](2011.07.30)
  • 万年筆。何と魅惑的な響きだろうか。どうせなら旧字体の萬年筆と表記したいところだ。それほど、この筆記具には崇高な佇まいを感じる。英語でいうなら〈fountain pen〉。〈fountain〉はご存知のように「噴水、泉、原水」という意味。万年筆には「長く(=万年)使っても使いべりがしない」という意味が込められているだろうし、〈fountain pen〉には「イ...

    [続きを読む](2011.07.23)
  • 「住んでいた部屋にお化けが出た」というような話はよく聞くが、僕はお化けなんかちっとも怖くない。僕が悩まされたアレに較べれば……。僕がかつて暮らしていたのは、松本零士の漫画にでも出てきそうな昭和臭ムンムンのアパートであった。築40年は経っている木造モルタルの2階。昇り降りには錆が浮きまくった鉄製の階段を使った。誰かがやって来るとカンカンカン〜という安っぽい音が...

    [続きを読む](2011.07.16)
  • 特に期待していたわけではなかった。「へえ〜。AKB48ってこういうこともやっていたんだね」という参考資料程度のつもりで観たのが、AKB歌劇団『∞・Infinity』のDVDであった。しかし、僕は自分でも驚く程の感銘を受けたのだ。AKB歌劇団『∞・Infinity』は、AKB48のメンバーによるミュージカル。2009年10月30日〜11月8日、シアターGロッソ...

    [続きを読む](2011.07.09)
  • 場当たり的な政策、米価の高騰、米騒動、度重なる不況、コレラの蔓延、都市部への人口の流入、木造建築密集地帯で多発する火災……と悪化の一途をたどっていた貧民問題は、世論においても多少の関心を集めていた。特に明治10年以降は、数多くの社会主義思想関連の書籍が翻訳出版され、単に「自己責任」としてとらえられていた貧民観も、社会問題的側面から論じられるようになる。

    [続きを読む](2011.07.02)

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