映画 MOVIE
  • 濃厚な色気をたたえた美女である。セクシーな女優は銀幕の世界にごまんといるが、エレオノラ・ロッシ=ドラゴのセクシーさは群を抜いている。彼女の色気は、艶気と言い換えた方がいいかもしれない。それもあけっぴろげなものではなく、万人に恵まれる慈雨のようなものでもなく、もっと秘事的で、重みがあり、男を官能にのめり込ませる妖しい艶気である。また、上流階級の女性を演じていた...

    [続きを読む](2017.04.30)
  • 先にも述べたように、編集は極めて巧妙だ。中には、おとみがラーメンに胡椒をかけて大きなくしゃみをし、幸子がずるずる音を立ててラーメンを食べるカット→おきん宅の外観のカット→おとみの前でおきんが上品にご飯を食べるカットという風に繋げるなど、やりすぎのように見える箇所もあるが、綿密に計算された編集美学に貫かれていることは間違いない。人物の動作にも意味が込められてい...

    [続きを読む](2017.03.20)
  • 成瀬巳喜男の『晩菊』は1954年公開の映画で、林芙美子原作ものとしては四作目にあたる。脚本は田中澄江と井出俊郎。三つの短編「晩菊」「水仙」「白鷺」を組み合わせ、大幅にアレンジした内容で、おきん(杉村春子)、たまえ(細川ちか子)、おとみ(望月優子)、おのぶ(沢村貞子)という四人の中年女性の人生を交錯させている。名女優たちを競演させた映画といえば『流れる』

    [続きを読む](2017.03.19)
  • シモーヌ・シニョレはフランス映画界の第一線で活躍した名女優である。演じた役柄には一定の傾向があり、若い頃は娼婦、情婦、不倫の人妻の役が多く、中年になってからは貫禄のあるおばさん役で存在感を発揮した。40歳を過ぎても顔の皺を隠すことなく変に若作りしなかったことや、政治に関する発言を積極的にしていたことから、同性のファンも多かったようである。

    [続きを読む](2017.02.04)
  • P.C.L.の看板スターといえば千葉早智子である。彼女は名家の出だが、ただのお嬢様ではない。宮城道雄に箏を教わり、師の代役として尺八の吉田晴風とアメリカ各地で演奏を行った経歴の持ち主である。おまけに美貌にも美声にも恵まれていたのだから、トーキーに移行した映画界から声がかかるのも時間の問題だった。銀幕にデビューしたのは1933年、22歳のとき。オペラ歌手の藤原...

    [続きを読む](2016.12.30)