映画 MOVIE

監督神髄

名監督たちの肖像

映画史に名を残す100人の監督論。
今なおファンに愛されている代表作を観ながら
それぞれの作品の特色、映画術をつまびらかにしたい。

  • 太平洋戦争以降の『海軍』(1944年)になると、事情が変わってくる。これは悪名高い映画法の統制下にある、まさに戦意高揚のために作られた作品だ。原作は、獅子文六(岩田豊雄)の新聞連載小説。鹿児島の平凡な少年が海軍を志して見事合格し、真珠湾攻撃で華々しく散るまでの成長物語で、配属将校の菊地少佐(原作では「菊池少佐」)が生徒に伝えた「断じて行へば鬼神も之を避く」と...

    [続きを読む](2017.10.12)
  • 田坂具隆監督の作品で現在広く知られているのは、1950年代以降に製作されたものだろう。『女中ッ子』(1955年)、『陽のあたる坂道』(1958年)、『五番町夕霧楼』(1963年)、『鮫』(1964年)は全て田坂監督作である。しかしそのキャリアは1920年代に始まっており、『正義の強者』(1927年)、『結婚二重奏』(1928年)などによって若くして力量を認め...

    [続きを読む](2017.10.10)
  • 中川信夫は怪談映画で名を馳せた監督だ。その代表作『東海道四谷怪談』(1959年)は日本映画史上屈指の大傑作と言われている。緊張感あふれる脱獄・逃亡シーン(ちょっとしたレズシーンもある)で息もつかせぬサスペンス映画『女死刑囚の脱獄』(1960年)を撮ったのも中川監督である。私はこの二作を同時期にビデオで観て、「こんなにすごい監督がいたのか」と興奮したものだ。

    [続きを読む](2017.09.25)
  • ジョン・スタージェスは男性を描くのがうまい。この点に異論を挟む人はいないはずだ。『大脱走』など、タイプの異なる男性像がそれぞれ細かく造型されていて、男性群像劇の最高傑作と呼びたいくらいである。モテモテのヤンキーというイメージがつきまとうウィリアム・ホールデンが、『ブラボー砦の脱出』で険のある堅物を好演しているのも、スタージェスが彼からベストの演技を引き出した...

    [続きを読む](2017.06.25)
  • ジョン・スタージェスは西部劇や戦争映画で名を馳せた娯楽映画の巨匠で、不屈の男たちを描いた作品で高い評価を得ていた。代表作は『荒野の七人』(1960年)と『大脱走』(1963年)。この2作だけでも、強い個性を持つ役者が大勢顔を揃えている。スティーヴ・マックイーンは言うまでもなく、ジェームズ・コバーンやチャールズ・ブロンソンのように後年大スターになった人も出演し...

    [続きを読む](2017.06.23)