映画 MOVIE

監督神髄

名監督たちの肖像

映画史に名を残す100人の監督論。
今なおファンに愛されている代表作を観ながら
それぞれの作品の特色、映画術をつまびらかにしたい。

  • 先にも述べたように、編集は極めて巧妙だ。中には、おとみがラーメンに胡椒をかけて大きなくしゃみをし、幸子がずるずる音を立ててラーメンを食べるカット→おきん宅の外観のカット→おとみの前でおきんが上品にご飯を食べるカットという風に繋げるなど、やりすぎのように見える箇所もあるが、綿密に計算された編集美学に貫かれていることは間違いない。人物の動作にも意味が込められてい...

    [続きを読む](2017.03.20)
  • 成瀬巳喜男の『晩菊』は1954年公開の映画で、林芙美子原作ものとしては四作目にあたる。脚本は田中澄江と井出俊郎。三つの短編「晩菊」「水仙」「白鷺」を組み合わせ、大幅にアレンジした内容で、おきん(杉村春子)、たまえ(細川ちか子)、おとみ(望月優子)、おのぶ(沢村貞子)という四人の中年女性の人生を交錯させている。名女優たちを競演させた映画といえば『流れる』

    [続きを読む](2017.03.19)
  • 1940年代にアルフレッド・ヒッチコックはイングリッド・バーグマンをヒロインに迎え、『白い恐怖』(1945年)、『汚名』(1946年)、『山羊座のもとに』(1949年)の3作を撮った。『白い恐怖』は縦縞模様に恐怖を抱く記憶喪失者と女性精神科医の関係、『汚名』はナチのスパイの娘とFBI捜査官の関係、『山羊座のもとに』は過去を持つ令嬢と馬丁の関係が一応の軸となっ...

    [続きを読む](2016.11.11)
  • 三隅研次は大映の社員監督として会社の命令に従いながらも、厳しい制約の中で我流の映像美を確立し、孤独な剣士の生きざまを描き続けた。その代表作の多くは、大スター市川雷蔵の代表作と重なる。つまり、その後のシリーズ化を決定づけた『眠狂四郎勝負』(1964年)も、「剣三部作」として知られる『斬る』(1962年)、『剣』(1964年)、『剣鬼』(1965年)も三隅監督作...

    [続きを読む](2016.08.28)
  • 女優の扱いは巧かったようで、フランソワーズ・ロゼーに始まり、ミシェル・モルガン、アナベラ、アルレッティ、マリー・デア、シュザンヌ・クルーティエ、シモーヌ・シニョレ、パスカル・プティ、アニー・ジラルドといった、そうそうたる名女優・人気女優の代表作がカルネによって撮られている。日本で言えば、女優を撮る達人だった吉村公三郎的なポジションに近いかもしれない。カルネ作...

    [続きを読む](2016.07.30)