映画 MOVIE

監督神髄

名監督たちの肖像

映画史に名を残す100人の監督論。
今なおファンに愛されている代表作を観ながら
それぞれの作品の特色、映画術をつまびらかにしたい。

  • 1940年代の作品には、舟橋聖一原作の『木石』(1940年)、藤澤恒夫原作の『新雪』(1942年)などがある。『木石』は伝染病の研究所が舞台で、いつもの庶民派映画という感じはしない。ただ、『木石』で赤木蘭子扮する厳格な女性は、「悪意のない身勝手な男により、苦しい思いをする女」という五所作品らしい女性像に当てはまる。その後、五所は大映に移り、『新雪』をヒットさ...

    [続きを読む](2020.09.18)
  • 五所平之助はロケ先でキャラメルや南京豆、焼き芋を買い込んで、皆と一緒に食べることを好んだという。特に好物だったのが焼き芋で、その理由について、「私は焼いもの庶民的な土の香りが好きで、栗より美味いという、素朴な、心をゆたかにうるおしてくれる母心のような風味は忘れられない」(「焼いもとドーナッツ」)と書いている。そんな彼自身の嗜好と、彼の作品の雰囲気は見事にだぶ...

    [続きを読む](2020.09.12)
  • 日本映画の斜陽期と言われた厳しい時代に、時代劇の伝統を守りながら独自の演出スタイルを貫き、数々の傑作を世に送り出したのが加藤泰である。東映の監督なので、大衆向きの映画を多く手掛けているが、安易に作られた駄作はない。どんな題材であっても妥協せず、美しさと力感と情緒に溢れた作品に仕上げるのが彼の信条だ。代表作を5本挙げるなら、中村錦之助主演の『風と女と旅鴉』

    [続きを読む](2020.05.15)
  • ジャン・ドラノワは「トリスタンとイゾルデ」の伝説を現代によみがえらせた『悲恋』(1943年)の監督である。この映画は大ヒットし、脚本を手がけたジャン・コクトーは、「ドラノワがいなければ私はどうなっていたことか...」と書いて当時35歳の若き才能を称えた。これにより一流監督の仲間入りを果たしたドラノワは、『しのび泣き』(1945年)、『田園交響楽』(1946年...

    [続きを読む](2020.04.16)
  • ジョージ・キューカーは女優の魅力を引き出す達人で、「Woman's Director」と呼ばれていた。彼に導かれ、新たな才能を開花させることができた女優は実に多い。しかもビッグネームばかりだ。ちょっと挙げるだけでも、ノーマ・シアラー、クローデット・コルベール、グレタ・ガルボ、ジョーン・クロフォード、キャサリン・ヘプバーン、ロザリンド・ラッセル、イングリッド・...

    [続きを読む](2020.01.30)