映画 MOVIE

監督神髄

名監督たちの肖像

映画史に名を残す100人の監督論。
今なおファンに愛されている代表作を観ながら
それぞれの作品の特色、映画術をつまびらかにしたい。

  • 日本映画の斜陽期と言われた厳しい時代に、時代劇の伝統を守りながら独自の演出スタイルを貫き、数々の傑作を世に送り出したのが加藤泰である。東映の監督なので、大衆向きの映画を多く手掛けているが、安易に作られた駄作はない。どんな題材であっても妥協せず、美しさと力感と情緒に溢れた作品に仕上げるのが彼の信条だ。代表作を5本挙げるなら、中村錦之助主演の『風と女と旅鴉』

    [続きを読む](2020.05.15)
  • ジャン・ドラノワは「トリスタンとイゾルデ」の伝説を現代によみがえらせた『悲恋』(1943年)の監督である。この映画は大ヒットし、脚本を手がけたジャン・コクトーは、「ドラノワがいなければ私はどうなっていたことか...」と書いて当時35歳の若き才能を称えた。これにより一流監督の仲間入りを果たしたドラノワは、『しのび泣き』(1945年)、『田園交響楽』(1946年...

    [続きを読む](2020.04.16)
  • ジョージ・キューカーは女優の魅力を引き出す達人で、「Woman's Director」と呼ばれていた。彼に導かれ、新たな才能を開花させることができた女優は実に多い。しかもビッグネームばかりだ。ちょっと挙げるだけでも、ノーマ・シアラー、クローデット・コルベール、グレタ・ガルボ、ジョーン・クロフォード、キャサリン・ヘプバーン、ロザリンド・ラッセル、イングリッド・...

    [続きを読む](2020.01.30)
  • ジャン・ギャバン、フランソワーズ・アルヌール主演の『ヘッドライト』(1956年)は、初老のトラック運転手と若いウェイトレスの悲恋物語で、溢れる詩情と哀感が胸を打つ傑作だ。アルヌールのファンには、ただでさえ魅力的な彼女のことをたまらなく愛おしく見せる作品として記憶されている。涙や溜息でじめじめしそうな題材だが、過剰な表現をせず、変にベタつかせず、テンポよく見せ...

    [続きを読む](2019.07.13)
  • 『エクソシスト』(1973年)は、単なるホラー映画ではない。かつてウィリアム・フリードキン監督は「信仰の神秘を描いたもの」と語り、原作者のウィリアム・ピーター・ブラッティは「超自然的な謎解きの物語」と語った。多くの人によって考察された傑作には、まだ解き明かすべき何かがある。これから書くことは、この二年間、繰り返し鑑賞して得た自分の考えをまとめたものである。

    [続きを読む](2019.03.25)