映画 MOVIE

監督神髄

名監督たちの肖像

映画史に名を残す100人の監督論。
今なおファンに愛されている代表作を観ながら
それぞれの作品の特色、映画術をつまびらかにしたい。

  • ところで、増村の代表作は何になるのだろう。映画の解説文などを書いている時、代表作を1、2本挙げながら人名を紹介することがしばしばある。例えば「『ローマの休日』『ベン・ハー』のウィリアム・ワイラー」とか、「『戦場にかける橋』『アラビアのロレンス』のデヴィッド・リーン」といった風に。このように単なる好悪の感情を超えて、誰にも否定しようのない代表作が明確に存在する...

    [続きを読む](2011.11.18)
  • 増村保造の監督デビュー作『くちづけ』は、それまで未知の存在だった男女が出会い、恋に落ちるまでの運命的な2日間をスピーディーかつダイナミックに描いた青春映画である。人物描写も増村らしくシャープで、冗漫さは一切なく、わずか74分という時間の中、青春の光と影がせわしなく交錯する。解放感に満ちたロケーションと躍動的なカメラワークは、それまでの日本映画にはあまり観られ...

    [続きを読む](2011.11.16)