映画 MOVIE

名画鑑賞サロン

忘れ得ぬ人と映画

“人と映画 ”についてのエッセイ。
忘れられない(忘れてほしくない)作品や
スクリーンで永遠の生命を獲得した男優、女優の魅力を
今昔問わず、国問わず、自由な形式で語る。

  • ジョン・カーペンター監督の『遊星からの物体X』(1982年)はリメイク映画である。原作は1938年に発表されたジョン・W・キャンベルJr.の短編小説「影が行く」で、1951年に初めて映画化された(製作はハワード・ホークス)。手短に言うと、原作は心理サスペンスとして怖く、ホークス製作版はおぞましい地球外生命体が出てくるモンスター映画として怖い。カーペンターは両...

    [続きを読む](2020.07.24)
  • 小津安二郎監督の『秋刀魚の味』(1962年)を観たのはだいぶ前のことだが、最初にこれを観た時から中村伸郎の存在が気になっていた。中村が演じているのは、笠智衆扮する主人公の旧友で、男だけの集まりで酒を飲みながら毒のある冗談を飛ばす中年男の役だ。皮肉っぽいがお人好し、身なりが良くてモダンで清潔感があり、話しぶりは軽妙、仲間にとっては

    [続きを読む](2020.03.04)
  • ロシアの人気女優というと、アナスタシア・ヴェルチンスカヤとリュドミラ・サヴェーリエワが思い浮かぶ。2人はほぼ同時期に第一線で活躍し、来日したこともあり、日本での人気も高かった。どちらも清純派のイメージだが、ヴェルチンスカヤの方が意志の強さを感じさせる顔立ちをしている。ヴェルチンスカヤの出演作の中で最も知られているのは、グリゴーリ・コージンツェフ監督の『ハムレ...

    [続きを読む](2019.12.13)
  • 『刑事コロンボ』の初期のエピソード「ホリスター将軍のコレクション」(1971年)に、スザンヌ・プレシェットが出演している。彼女が演じているのは、心理療法を受けている女性ヘレンの役だ。ヘレンは殺人事件を目撃していながら、犯人であるホリスター元将軍から「見間違いだ」と言われると、自分の目で見たことが事実なのかどうか自信がなくなり、さらに、彼に甘い言葉をかけられる...

    [続きを読む](2019.11.11)
  • 『地上より永遠に』(1953年)に印象的な場面がある。ホノルルの兵営に配属されたプルーイット二等兵が、かつてボクシングで親友に大きな怪我を負わせたことをクラブのホステスに話すシーンだ。その語り方は、内に抱える苦しみをにじませていて、いわゆるお芝居らしいテンポがない。このように内向的で生々しい演技は当時のハリウッドではまだ珍しく、多くの名優が出演しているこの名...

    [続きを読む](2019.10.07)