「アルフレッド・コルトー」と一致するもの

  • 特別な雰囲気 クララ・ハスキルはルーマニア出身のピアニストで、モーツァルト弾きとして定評があった。幼少期から才能を発揮していたが、病気等に悩まされて思うようにキャリアを積めず、実際に大きな注目を浴びたのは戦後、50歳を過ぎてからのことだった。 ハスキルのピアノの特徴を一言で表現するのは難しい。あっと言わせるような解釈があるわけでも、絢爛たる技巧があるわけでも...

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  • 簡潔で繊細な音の詩集 ショパンは1838年11月にジョルジュ・サンドと共にマヨルカ島へ行き、3ヶ月ほど過ごした。悪化した体調を回復させることが主な滞在目的だったが、ショパンは環境に馴染めず、精神的なストレスも重なり、病状は良くならなかった。しかし、その間も作曲を行い、1839年1月に完成させたのが「24の前奏曲」である。 作曲にあたり、ショパンが参考にしたの...

    [続きを読む](2023.03.04)
  • 啓示的に響くコラール  セザール・フランクの「前奏曲、コラールとフーガ」は1884年に作曲され、1885年1月24日もしくは25日にマリー・ポアトヴァンによって初演された。フランクは若い頃ピアニストとして才能を開花させ、ピアノ曲も書いていたが、25歳の時(1847年)にオルガニストに転向した。それからは他の楽器のために書いた作品をピアノ用に編曲することはあっ...

    [続きを読む](2022.12.04)
  • 美しいメロディーがより美しくなる おなじみの作品が新鮮な魅力を放ったり、なじみのない作品が親しげに響いたとき、決して誇張ではなく、芸術の深い部分と調和したような気持ちになる。ペーター・マークはそういう感動を与える指揮者である。新鮮な魅力を放つといっても、それが単に奇を衒ったものなら二度聴けば飽きる。マークの指揮はそうではなく、独特の表現が全て音楽的に響くのだ...

    [続きを読む](2022.06.04)
  • 「もし踊るなら、相手は伯爵夫人でなければ」 ワルツは4分の3拍子の舞曲で、18世紀後半に普及し始めた。語源はwal(t)zen(回る、回転する)ではないかと言われている。この舞曲が広まったのは、1815年、リーニュ公に「会議は踊る、されど進まず」と評されたウィーン会議からで、以後ヨーゼフ・ランナーやシュトラウス・ファミリーのワルツ曲が爆発的な人気を得た。 ...

    [続きを読む](2020.07.03)
  •  ジャック・ティボーのヴァイオリンは甘い音がする。 でもフレージングや強弱の付け方が洗練されているので、べたつかず、すっきりとした後味を残す。古臭いと言われがちなポルタメントやヴィブラートの奏法も上品で優雅、時に官能的な艶を帯び、聴き手を魅了する。 協奏曲を弾く時も、小品を弾く時も、ティボーの解釈には理屈っぽさがない。作曲家に対する大げさな構えも感じられな...

    [続きを読む](2020.03.13)
  • ポピュラーで、画期的な協奏曲 私が最初に聴いた音楽が何なのかは覚えていないが、クラシック音楽というものを好きになる前から、バッハのメロディーは何種類も知っていた。幼少の頃、テレビ、ラジオ、あるいは街中で聴く機会があったのだろう。パッと思い浮かぶだけでも、「G線上のアリア」、「トッカータとフーガ ニ短調」、無伴奏チェロ組曲第1番の「前奏曲」、小フーガ、イタリ...

    [続きを読む](2020.02.06)
  •  アルフレッド・コルトーの演奏は、音楽作品の中に広がる詩的世界を開示する。間の取り方やペダリングが独特で、詩を書くようにピアノを弾いていると言いたくなるほどロマンティックで豊かな音楽性がそこに湧き出ている。解釈とアーティキュレーションに磨きをかけながらも、いざ指が鍵盤にふれるとなった時、きらめく感性が発現し、理屈をこえたところで五線譜の縄から解放された音楽が...

    [続きを読む](2018.01.13)
  • 青春と抒情 ガブリエル・フォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番は1875年から1876年にかけて作曲され、1877年1月27日に国民音楽協会の演奏会で、マリー・タヨーのヴァイオリンにより初演された。伴奏を務めたのは作曲者自身である。「期待を遥かに越える成功」(フォーレの言葉)を収めたこの初演の後、師であるサン=サーンスは、「子供が成長して自分の手元を離れてゆく...

    [続きを読む](2017.09.10)
  • 仮面をつけた音符たち ロベルト・シューマンの『謝肉祭』は1834年9月頃から1835年の間に作曲されたピアノ小品集で、作品番号は9。副題は「4つの音符による愛らしい情景」である。4つの音符とは、恋人エルネスティーネ・フォン・フリッケンの故郷アッシュの綴り「ASCH」を音名表記した「A、Es、C、H」。シューマンはこれらの文字が自分の名前の綴りに含まれているこ...

    [続きを読む](2016.04.08)
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