「グレン・グールド」と一致するもの

  • 「嘆きの歌」から輝かしい結末へ ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番は、1821年から1822年にかけて作曲された。自筆譜に記された完成日は、1821年12月25日。そこから修正作業を行い、1822年初春まで第3楽章に手を入れていたようである。献呈相手としては、パトロンだったフランツ・ブレンターノの夫人アントーニエか、弟子のフェルディナント・リースが予定さ...

    [続きを読む](2023.11.05)
  • 装飾を削ぎ落とした短調の協奏曲 モーツァルトのピアノ協奏曲第24番は1786年3月24日に書き上げられ、同年4月7日にウィーンでの予約演奏会で初演された。調性はハ短調。この時期はピアノ協奏曲の収穫期で、1784年から1786年までの3年間で12作品(第14番から第25番まで)が書かれている。 第1楽章のカデンツァ、第2楽章、第3楽章のためのアインガングは作曲...

    [続きを読む](2023.06.09)
  • 練習魔 天才のなかには練習嫌いが少なからずいるが、ルドルフ・ゼルキンは練習魔で、毎日何時間もピアノに向かっていた。まず非常に遅いテンポでスケール練習を行い、時間をかけて徐々にテンポを速め、最終的に最速で弾くのがお決まりだった。何度も演奏したことがある曲でも、手を抜かずに練習をくり返した。それはもはや練習というより、音楽に奉仕する儀式だったのかもしれない。グレ...

    [続きを読む](2023.02.04)
  • フランス語で「Pathétique」 ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」は、1797年から1798年の間に作曲され、1799年に出版された。作曲者がまだ20代の頃の作品である。標題は原語で「Grande Sonate pathétique」、つまり正確には「大ソナタ悲愴」となる。ベートーヴェンのピアノ・ソナタには「月光」、「テンペスト」、「ワルトシ...

    [続きを読む](2022.03.05)
  • 二十代のたくましい表現力 ベートーヴェンの交響曲とピアノ協奏曲は、第1番と第2番が古典派らしい優美さと明るさを持つ点で共通している。両作品ではこの作曲家の独創性はまだ表面化しておらず、第3番以降の作品よりも影が薄い。作風もアイディアも穏健で、激しい叫びも胸を潰すような重さもない。しかし、これらは旋律とリズムの力のみで勝負していた青春時代のたくましい表現力の結...

    [続きを読む](2021.03.03)
  • リヒテルのプロフィール 1955年、戦後初めて鉄のカーテンを越えて訪米したソ連のピアニスト、エミール・ギレリスは、各地でセンセーションを巻き起こし、絶賛された時、こう言ったという。「私のことを褒めるのは、リヒテルの演奏を聴くまで待ってください」ーーこれはギレリスの人柄を表すエピソードであり、2人の優劣を示すものではないが、この発言から西側におけるリヒテル伝説...

    [続きを読む](2021.01.08)
  • アレルヤとジュピター ヨハン・ネポムク・フンメルは1778年にプレスブルク(現ブラチスラヴァ)に生まれた。ベートーヴェンの8歳下である。神童だったフンメルは、アウフ・デア・ヴィーデン劇場の音楽監督になった父親と共にウィーンに移住、モーツァルトにピアノを教わった。フンメルのことを気に入ったモーツァルトは、1787年に自身が主催した演奏会でピアニストとしてデビュ...

    [続きを読む](2018.03.04)
  • ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 100選 その2ミンドゥル・カッツサー・ジョン・バルビローリ指揮ハレ管弦楽団1959年録音カッツはルーマニアのピアニスト。正統派のピアニズムで、奇をてらうことはない。第1楽章のピアノの演奏は毅然としていて、勢いもある。分散和音の表現にも清冽さが感じられる。が、オーケストラの響きは(私が聴いたレコードの音質が貧弱なせ...

    [続きを読む](2017.12.16)
  • 完全無欠 ベートーヴェンの交響曲第5番は、1804年から1808年の間に作曲された。キンスキー=ハルムの作品目録によると、交響曲第3番「英雄」完成後に着手したが、交響曲第4番、ピアノ協奏曲第4番、ヴァイオリン協奏曲などの創作のため中断、1807年に再び取りかかり、1808年の早い時期に書き上げたという。作曲に費やした時間が実質的にどれくらいなのかは不明だが、...

    [続きを読む](2015.08.13)
  • 音楽の冒険 J.S.バッハの「ゴルトベルク変奏曲」は、『クラヴィーア練習曲集』の第4部として1741年(1742年とも言われる)に出版された作品で、元々は「2段の手鍵盤をもつチェンバロのためのアリアとさまざまな変奏」と題されていた。「ゴルトベルク変奏曲」と呼ばれるようになったのは、ヨハン・ニコラウス・フォルケルが『バッハ小伝』の中で、あの有名なエピソードを伝...

    [続きを読む](2015.07.09)
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