「ハイドン」と一致するもの

  • 凄絶なるもの ベートーヴェンの序曲『コリオラン』は1807年初めに作曲され、早くも同年3月、作曲者自身の指揮により初演された。タイトルの通り、ハインリヒ・ヨーゼフ・コリンの戯曲『コリオラン』のために書かれた音楽である。一説によると、ベートーヴェンはこの劇が何の音楽もなく上演されているのを見て、序曲を書こうと思い立ったらしい。出版年は1808年。作品はコリンに...

    [続きを読む](2024.05.18)
  • 古典派風のモダンシンフォニー プロコフィエフの交響曲第1番「古典」は、1916年から1917年にかけて作曲された。当時25歳だったプロコフィエフは、かつてニコライ・チェレプニン(ペテルブルク音楽院教授)のもとで研究したハイドンの技法を活かし、「ハイドンが現代に生きていたら書いたであろう作品」を書こうとしたという。初演日は1918年4月21日。レニングラードで...

    [続きを読む](2024.03.11)
  • エラール・ピアノが可能にした表現 ピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」は1803年から1804年にかけて作曲された。この時期、ベートーヴェンの創造意欲はとどまるところを知らず、ピアノ協奏曲第3番、クロイツェル・ソナタ、交響曲第3番「英雄」、三重協奏曲など、傑作を次々と生み出していた。どの作品にも情熱と革新性がみなぎっていて、強い個性を放っている。音楽そ...

    [続きを読む](2023.09.05)
  • 「ひと汗かかせる」大協奏曲 モーツァルトのピアノ協奏曲第15番は1784年3月15日に完成し、同月24日の予約制演奏会で作曲者自身の独奏によって披露された。これまで書いてきたピアノ協奏曲に比べると、オーケストラの編成は大きく、管弦楽の響きが多彩になり、ピアノの難易度も「ひと汗かかせる」(作曲者の言葉)レベルにまで上がっている。この作品は先輩作曲家フランツ・ク...

    [続きを読む](2023.05.06)
  • 作品の解釈 アンセルメは原典主義者ではなく、必要に応じて総譜を修正・変更していた。作曲家は幅広い解釈の余地を解釈者に委ねるものだ、というのが彼の持論だった。指揮者は作曲家の奴隷ではない。適切な解釈を行い、指揮者自身の意見を伝えなければならないとも主張していた。これは若い頃、ドビュッシー、ラヴェル、ストラヴィンスキーといった人たちと意見交換を行い、自分の提案を...

    [続きを読む](2023.04.14)
  • 「彼女は心で歌うことを知っていた」 イルムガルト・ゼーフリートは、戦後のウィーンで活躍した「モーツァルト・アンサンブル」の一員である。オペラのみならず、リートやオラトリオでも高く評価されていた人で、かつて同じ舞台に立っていたエリザベート・シュヴァルツコップからは次のように賞賛されていた。「私たちは、皆、彼女のことを羨んでいました。私たちが苦心して身につけなけ...

    [続きを読む](2022.04.03)
  • 才気煥発な音楽の化身 レナード・バーンスタインはアメリカが生んだ最初の世界的指揮者である。そのキャリアは華々しく、指揮者としてだけでなく、作曲家、ピアニスト、教育者としても大きな足跡を残した。派手な動きが多い指揮に関しては好き嫌いが分かれるが、そこから放たれる音楽の力は絶大なもので、多くの聴衆を魅了した。彼こそは才気煥発な音楽の化身、全身音楽家であった。 コ...

    [続きを読む](2022.01.04)
  • 深い憂愁 ロベルト・シューマンのチェロ協奏曲は1850年頃に作曲され、作曲者の死後、1860年4月23日にルートヴィヒ・エーベルトのチェロにより初演された。チェロ協奏曲の中では一、二を争うほどの有名作で、ドヴォルザーク、ハイドン(第2番)の作品と合わせて3大協奏曲と言われることもある。 晩年のシューマンは精神のバランスを崩していたが、創作意欲は衰えず、才能が...

    [続きを読む](2021.11.03)
  • 「聖アントニウスのコラール」から始まる物語 ブラームスの『ハイドンの主題による変奏曲』は、1873年に作曲され、同年11月、作曲者自身の指揮により初演された。交響曲第1番を完成させる3年前のことである。 1870年、ウィーン学友協会の司書でハイドン研究家のカール・フェルディナンド・ポールから、ハイドン作とされる「ディヴェルティメント 変ロ長調 Hob.II....

    [続きを読む](2021.10.03)
  •  現代音楽を得意とする指揮者には、総じて知的でクールなイメージがある。彼らが古典派やロマン派の作品を振ると、大抵の場合、音楽の細かい構造が透けて見えるような演奏になる。もやもやしたものが取り除かれ、分かりにくいと感じていたものが分かりやすくなり、クリアーに全体像が見えてくるのだ。 もっとも、明晰で分かりやすい演奏というだけではじきに飽きが来る。我々が音楽に求...

    [続きを読む](2021.04.03)
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