「ピエール・モントゥー」と一致するもの
-
音楽で描かれた14人 エルガーの「ニムロッド」は、英国の式典や葬儀で頻繁に流れている有名曲だ。2012年のロンドン・オリンピック、2021年のフィリップ殿下の葬儀でも演奏されていた。ただ、もともとは祝典のための音楽でも、告別のための音楽でもない。家族や友人のことをイメージしながら書いた『エニグマ変奏曲』の第9変奏にあたる曲である。 『エニグマ変奏曲』は189...
[続きを読む](2022.09.04) -
1951年、エリザベート王妃国際音楽コンクールの開催が決まった際、ソ連政府の役人はスターリンから「必ず優勝を」と命令された。困った彼らは、国際コンクールでの優勝経験がある大演奏家ダヴィッド・オイストラフに相談した。「ソ連のヴァイオリニストの中で、誰なら優勝できるのか?」オイストラフは答えた。「レオニード・コーガンしかいない」――こうして当時27歳だったコー...
[続きを読む](2021.08.01) -
ブラームスの「田園」 ブラームスの交響曲第2番は1877年に作曲され、同年12月30日に初演された。指揮者はハンス・リヒター、オーケストラはウィーン・フィルである。初演は大成功を収めた。以来、その人気の高さは変わっていない。ブラームスの交響曲は4作品あり、いずれも傑作だが、第2番が好きだという人は非常に多い。 完成までに20年以上かかった交響曲第1番とは対照...
[続きを読む](2019.12.03) -
祝典音楽から交響曲へ 「ハフナー」は活力と躍動感にあふれた傑作である。明るい雰囲気が支配的で、陰翳もあるが暗さや切なさのなかに沈むことは全くない。音楽は輝きながら、迷いなく、勢いよく前進する。もともとは祝典のために書かれたという事情も大いに影響しているのだろう。 作曲の経緯はやや入り組んでいる。モーツァルトはまず1776年にザルツブルクのハフナー家の結婚式の...
[続きを読む](2019.09.26) -
サー・エイドリアン・ボールトはイギリスが生んだ大指揮者で、ホルストの『惑星』の非公式初演、ヴォーン・ウィリアムズの田園交響曲や交響曲第4番の初演を任された人物として知られている。世界最長の交響曲と言われるハヴァーガル・ブライアンの交響曲第1番「ゴシック」のプロ演奏家による正式初演で指揮を務め、成功に導いたのもボールトである。同時代のイギリス音楽を世に紹介し...
[続きを読む](2018.08.15) -
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 100選 その1ウラディーミル・アシュケナージサー・ゲオルグ・ショルティ指揮シカゴ交響楽団1972年録音第1楽章のピアノは流麗。オーケストラの方は各パートの冴えた音色や美技で魅せる。何しろショルティ指揮のシカゴ響なので巧い。迫力も十分ある。ピアノだけ取り出すと、優等生的な気取りが感じられなくもないが、真逆のアプロー...
[続きを読む](2017.12.08) -
モーツァルト像をどう描くか モーツァルトの交響曲第39番は1788年6月26日に完成された。創作動機は明らかになっていないが、予約演奏会のために作曲され、実際に演奏もされたのではないかと言われている。はっきりしているのは、この時期、わずか2ヶ月の間に第39番、第40番、第41番「ジュピター」という三大交響曲が立て続けに生み出されたこと、つまりモーツァルトの創...
[続きを読む](2017.10.01) -
もう一人の巨人 ベートーヴェンの交響曲第4番は1806年に作曲され、1807年3月に初演された。かつてシューマンは、有名な第3番と第5番の間に生まれたこの作品を、「北欧の2人の巨人に挟まれた清楚可憐なギリシャの乙女」と呼んだ。美しい呼称である。しかし、第2楽章はともかく、全体的にはベートーヴェンらしい力強さと緊張感をたたえた力作で、その構成も(第5番以上とは...
[続きを読む](2017.05.29) -
変化と創造への意思 ベートーヴェンの交響曲第3番は1803年5月から1804年にかけて作曲された。公開初演日は1805年4月7日。作曲のきっかけは定かでないが、ベートーヴェンが完成した作品をナポレオン・ボナパルトに献呈するつもりでいたところ、皇帝に即位したニュースを聞いて失望したという逸話は有名だ。 第2番を作曲したのは1802年のことなので、この第3番の完...
[続きを読む](2016.11.01) -
レパートリーの広さ ピエール・モントゥーについて書かれた文章を読むと、ロシア音楽が得意とか、ドイツ音楽が得意とか、母国フランスの音楽が最も得意とか、いろいろなことが書かれている。そこでいつも思う、「果たしてこの人に得意でない作品があったのだろうか」と。実際のところ、レパートリーが広かったことは、遺された音源が証明している。バッハからメシアンまで、時代にも国籍...
[続きを読む](2015.07.22)