「ブラームス」と一致するもの

  • 型にとらわれず、自由に ブラームスの交響曲第3番は1883年に作曲され、同年12月2日に初演された。作曲当時、ブラームスは50歳。5月頃からヴィースバーデンで本腰を入れて筆を進め、10月にほぼ完成させた。ブラームスにしては速筆である。ちょうど作曲期間中、若い歌手ヘルミーネ・シュピースに恋慕の情を抱いていたらしく、その気分が作品に反映されていると見る向きもある...

    [続きを読む](2024.10.05)
  • 名門オーケストラを42年間率いる ユージン・オーマンディはフィラデルフィア管弦楽団を42年間率いた名指揮者である。生前は人気があり、数多くの録音を遺し、豊麗なフィラデルフィア・サウンドで音楽ファンを虜にした。レコードのセールス面ではレナード・バーンスタインを凌いでいたという。日本でも一時はオーマンディの録音が出回っており、私などの世代にとっては、クラシック音...

    [続きを読む](2024.06.10)
  • 限りないロマンと情熱 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は1806年に作曲され、同年12月23日に初演された。独奏を務めたのは、当時26歳のヴァイオリニスト、フランツ・クレメントである。作曲の際、ベートーヴェンはクレメントに助言を仰ぐこともあったという。当時のヴァイオリン協奏曲としてはスケールが大きく、演奏時間は40分から45分、第1楽章だけでも20分を超え...

    [続きを読む](2024.04.07)
  • 情熱に満ちた交響的幻想曲 シューマンの交響曲第4番は1841年に作曲され、同年9月13日、妻クララの誕生日に贈られた。初演は同年12月6日、ライプツィヒのゲヴァントハウスで行われたが、期待していたような評価を得られず、楽譜の出版も見送られた。その後、1851年に改訂を開始。1853年12月30日に改訂稿の初演がデュッセルドルフで行われ、成功を収めた。 異名は...

    [続きを読む](2023.10.04)
  • 装飾を削ぎ落とした短調の協奏曲 モーツァルトのピアノ協奏曲第24番は1786年3月24日に書き上げられ、同年4月7日にウィーンでの予約演奏会で初演された。調性はハ短調。この時期はピアノ協奏曲の収穫期で、1784年から1786年までの3年間で12作品(第14番から第25番まで)が書かれている。 第1楽章のカデンツァ、第2楽章、第3楽章のためのアインガングは作曲...

    [続きを読む](2023.06.09)
  • 練習魔 天才のなかには練習嫌いが少なからずいるが、ルドルフ・ゼルキンは練習魔で、毎日何時間もピアノに向かっていた。まず非常に遅いテンポでスケール練習を行い、時間をかけて徐々にテンポを速め、最終的に最速で弾くのがお決まりだった。何度も演奏したことがある曲でも、手を抜かずに練習をくり返した。それはもはや練習というより、音楽に奉仕する儀式だったのかもしれない。グレ...

    [続きを読む](2023.02.04)
  • 森の中で歌うただ一羽の鳥 ヴァイオリンというものは、ここまで美しい音が出るのか。アルテュール・グリュミオーの録音を聴くたびに、そう思わされる。その音は艶やかでよく歌う。豊かな響きをもち、潤いがある。表現は端正で、貴族的と言いたくなるほど格調高い。切れ味はあるが、無理に力を入れて弾いているという印象がほとんどない。弟子のオーギュスタン・デュメイが伝えるところに...

    [続きを読む](2022.11.04)
  • 美しいメロディーがより美しくなる おなじみの作品が新鮮な魅力を放ったり、なじみのない作品が親しげに響いたとき、決して誇張ではなく、芸術の深い部分と調和したような気持ちになる。ペーター・マークはそういう感動を与える指揮者である。新鮮な魅力を放つといっても、それが単に奇を衒ったものなら二度聴けば飽きる。マークの指揮はそうではなく、独特の表現が全て音楽的に響くのだ...

    [続きを読む](2022.06.04)
  • 「聖アントニウスのコラール」から始まる物語 ブラームスの『ハイドンの主題による変奏曲』は、1873年に作曲され、同年11月、作曲者自身の指揮により初演された。交響曲第1番を完成させる3年前のことである。 1870年、ウィーン学友協会の司書でハイドン研究家のカール・フェルディナンド・ポールから、ハイドン作とされる「ディヴェルティメント 変ロ長調 Hob.II....

    [続きを読む](2021.10.03)
  •  1951年、エリザベート王妃国際音楽コンクールの開催が決まった際、ソ連政府の役人はスターリンから「必ず優勝を」と命令された。困った彼らは、国際コンクールでの優勝経験がある大演奏家ダヴィッド・オイストラフに相談した。「ソ連のヴァイオリニストの中で、誰なら優勝できるのか?」オイストラフは答えた。「レオニード・コーガンしかいない」――こうして当時27歳だったコー...

    [続きを読む](2021.08.01)
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