「ブルックナー」と一致するもの
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名門オーケストラを42年間率いる ユージン・オーマンディはフィラデルフィア管弦楽団を42年間率いた名指揮者である。生前は人気があり、数多くの録音を遺し、豊麗なフィラデルフィア・サウンドで音楽ファンを虜にした。レコードのセールス面ではレナード・バーンスタインを凌いでいたという。日本でも一時はオーマンディの録音が出回っており、私などの世代にとっては、クラシック音...
[続きを読む](2024.06.10) -
祈りの休符交響曲 ブルックナーの交響曲第2番は1871年10月から1872年9月にかけて作曲された。年齢でいうと47歳から48歳の間に書かれた作品である。初演は1873年10月26日、自らウィーン・フィルを指揮し、成功を収めた。 初演まですんなりと進んだわけではない。まず試演時にウィーン・フィルの団員が作品に対して否定的な態度をとり、次いで、友人である指揮者...
[続きを読む](2023.12.08) -
「ワーグナー交響曲」から自分の交響曲に ブルックナーの交響曲第3番は1872年秋から1873年12月31日の間に作曲された。これが第1稿で、1874年には大幅に補筆され、さらに1876年秋から1877年10月12日にかけて改訂が行われた。この第2稿の初演は1877年12月16日、作曲者自身の指揮によって行われたが、大失敗に終わった。聴衆は演奏中に群れをなして...
[続きを読む](2022.10.06) -
天高く響き、地を揺るがす ブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」を聴いていると、不思議な気分になることがある。一体全体この巨大な音楽はどこから生まれてきたのだろうかと。作曲者から生まれたものだと言ってしまえばそれまでだが、彼がどういう気持ちで書いていたのか読めないのである。私はそこに一個人の喜怒哀楽や信仰心や創作意欲を超えた自然の意思のようなものを感じ...
[続きを読む](2021.06.02) -
一つのオーケストラの真価を知らしめるには一人の名指揮者の存在が不可欠である。すぐれた指揮者がいて、素晴らしい公演が実現してこそ、その評価は高まり、名実共に一流オーケストラとなるのだ。レコードだけでは「録音技術の魔術でうまく聞こえるのだろう」などと言われかねない。 では、いわゆる世界三大オーケストラはどうだったのか。むろん彼らにも、来日して圧倒的な演奏を披...
[続きを読む](2020.09.03) -
若い頃のカルロ・マリア・ジュリーニについて、プロデューサーのウォルター・レッグは、「彼が最も必要としたものはレパートリーだった」と書いている。しかし、ジュリーニは限られたレパートリーでも特に不自由することなく、自分がきちんと理解している作品しか指揮せず、やがて誰もが認める巨匠となった。 人柄は誠実で、権力欲もなかった。ジュリーニが誰かとポストを争って蹴落...
[続きを読む](2020.08.02) -
自分の好きな作品を紹介し、おすすめの演奏を挙げる時、ルドルフ・ケンペの名前を出していることが少なくない。若い頃は極度の激しさ、奈落の底の暗さ、えぐるような鋭さを求めがちで、過剰な表現に走らないケンペに惹かれることは稀だったが、心身を満たす充実感を味わいたいという気持ちが強くなっている今、何度も聴きたくなる演奏となると、この人の録音に食指が動くのだ。 過剰で...
[続きを読む](2019.07.04) -
扉の向こうにある宇宙 ブルックナーの交響曲第5番は、緻密に構成された大曲で、骨組みは複雑ながらもがっちりとしている。第7番や第8番などに比べると硬質な感触があるが、その重たい鉄の扉を開けた向こう側に、我々を圧倒する音の世界が広がっている。傑作と評されながらも、とっつきにくいと言われることがあるのは、その扉を開けるのに少し時間がかかるからだ。 各楽章の主題の扱...
[続きを読む](2019.06.04) -
新しい交響曲の創始者 ハンス・ロットの交響曲第1番は、完成から100年以上演奏の機会に恵まれず、1989年にようやく初演された。ロットの名前はマーラーの伝記等にも載っているし、ブルックナーやマーラーがその才能を讃えた言葉も記録されている。誰も知らない作曲家だったわけではない。にもかかわらず、その代表作である交響曲第1番が人々の耳に届くまでにはあまりにも長い時...
[続きを読む](2018.10.13) -
ハンス・ロスバウトには現代音楽のマイスターというイメージがある。何しろ20世紀の重要作品であるシェーンベルクのオペラ『モーゼとアロン』、ブーレーズの「ル・マルトー・サン・メートル」、クセナキスの「メタスタシス」の世界初演を務めた人なのである。しかし、そのレパートリーは広い。端的に言えば、ラモーからシュトックハウゼンまで手中に収めているのだ。大半はヨーロッパ...
[続きを読む](2018.05.03)