「マーラー」と一致するもの

  • 抑えられない創作意欲 ショスタコーヴィチの交響曲第6番は1939年に作曲され、1939年11月5日にエフゲニー・ムラヴィンスキー指揮のレニングラード・フィルにより初演が行われた。大成功を収めた前作の第5番に比べると芳しい評価は得られなかったが、ショスタコーヴィチらしい革新性と諧謔性が十全に発揮された傑作である。 作曲者自身の言葉によると、第6番は「春や喜びや...

    [続きを読む](2024.07.08)
  •  『広島・長崎における原子爆弾の影響』は、1945年9月から10月にかけて広島・長崎の様子を撮った記録映像である。製作したのは日本映画社。原爆投下の爆心から数百メートル地点、1キロ地点、2キロ地点、5キロ地点...とそれぞれの場所における被害状況をカメラにおさめ、物理学、生物学、植物学などの面から原爆の影響を細かく検証している。 この映像はGHQに没収され、...

    [続きを読む](2022.07.17)
  • 才気煥発な音楽の化身 レナード・バーンスタインはアメリカが生んだ最初の世界的指揮者である。そのキャリアは華々しく、指揮者としてだけでなく、作曲家、ピアニスト、教育者としても大きな足跡を残した。派手な動きが多い指揮に関しては好き嫌いが分かれるが、そこから放たれる音楽の力は絶大なもので、多くの聴衆を魅了した。彼こそは才気煥発な音楽の化身、全身音楽家であった。 コ...

    [続きを読む](2022.01.04)
  • ピアノ独奏から合唱へ ベートーヴェンの「ピアノ、合唱と管弦楽のための幻想曲」、通称「合唱幻想曲」は、1808年12月に数日間で作曲され、1808年12月22日にアン・デア・ウィーン劇場で初演された。ピアノ独奏による導入部は、ベートーヴェンが初演で即興演奏し、その後改訂されたものである。1808年12月22日といえば、交響曲第5番「運命」や第6番「田園」が初演...

    [続きを読む](2021.12.05)
  • はじめに 昨年、お気に入りディスク数枚を基にスピーカーを比較試聴し、私のオーディオシステムに最適なスピーカーが定まった。その後も、光学ドライブの更新や設定変更等いくつかの調整を経て、好ましい響き方・鳴り方のシステム構成が出来上がった。[CDプレーヤー相当]・外付け光学ドライブ (パイオニアReal Time PureRead活用)・ノートパソコン (192k...

    [続きを読む](2021.08.28)
  •  現代音楽を得意とする指揮者には、総じて知的でクールなイメージがある。彼らが古典派やロマン派の作品を振ると、大抵の場合、音楽の細かい構造が透けて見えるような演奏になる。もやもやしたものが取り除かれ、分かりにくいと感じていたものが分かりやすくなり、クリアーに全体像が見えてくるのだ。 もっとも、明晰で分かりやすい演奏というだけではじきに飽きが来る。我々が音楽に求...

    [続きを読む](2021.04.03)
  • これは天上の生活なのか マーラーの交響曲第4番は1899年から1900年にかけて作曲され、1901年11月25日、作曲者自身の指揮により初演された。第2番「復活」、第3番と同じように、もともと歌曲集『少年の魔法の角笛』に収録されていた曲を転用していることから、3作まとめて「角笛3部作」と呼ばれることもある。 交響曲第4番の最終楽章に使われたのは、『少年の魔法...

    [続きを読む](2021.02.05)
  • マックス・リヒター『ブルー・ノートブック』2004年作品 2003年2月14から16日にかけて、世界中の都市の目抜き通りを老若男女が埋め尽くす、記録的規模のデモが行われた。集まったのは言うまでもなく、イラク戦争を阻止したいという想いで結ばれた人々だ。東京でも明治公園を出発点に2万人以上が行進したものだが、ロンドンでの参加者は約100万人に上り(150万もし...

    [続きを読む](2020.10.21)
  • そして最後の審判が始まる マーラーの交響曲第2番「復活」は、1888年から1894年にかけて作曲され、1895年12月13日、作曲者自身の指揮により初演された。全5楽章の長大な交響曲で、第1楽章は20分以上、第5楽章は30分以上の演奏時間を要する。全体で80分を超える演奏は珍しくない。それでも人気が高く、この作品を聴いてマーラーに夢中になったという人は非常に...

    [続きを読む](2020.06.04)
  •  自分の好きな作品を紹介し、おすすめの演奏を挙げる時、ルドルフ・ケンペの名前を出していることが少なくない。若い頃は極度の激しさ、奈落の底の暗さ、えぐるような鋭さを求めがちで、過剰な表現に走らないケンペに惹かれることは稀だったが、心身を満たす充実感を味わいたいという気持ちが強くなっている今、何度も聴きたくなる演奏となると、この人の録音に食指が動くのだ。 過剰で...

    [続きを読む](2019.07.04)
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