「モーツァルト」と一致するもの

  • 完全燃焼するオルガン フランシス・プーランクのオルガン協奏曲は、正式には「オルガン、弦楽、ティンパニのための協奏曲」という。つまり、管楽器が使われていない。それらの音色はオルガンが一手に担っている。その多彩な音にティンパニの打音と弦楽器の重厚な響きが重なり合う。そこから生まれるアンサンブルは驚くほど陰翳が深い。管楽器がなくて物足りない、という印象が与えられる...

    [続きを読む](2011.07.10)
  • R.シュトラウスとカラヤンの理想 マリア・チェボターリはリヒャルト・シュトラウスのお気に入りだった。ヘルベルト・フォン・カラヤンによると、シュトラウスが理想としていた〈サロメ〉はチェボターリだったという。1970年代半ば、カラヤンもまたサロメ役に亡きチェボターリの声を求めていた。そうして見つけた歌手がヒルデガルト・ベーレンスである。カラヤンはリチャード・オズ...

    [続きを読む](2011.07.02)
  • ベートーヴェンも愛した「短調のモーツァルト」 明るく、無邪気なモーツァルトしか知らない人は、悲しみ悶え苦しむ「短調のモーツァルト」の存在を知った時、少なからず驚くに違いない。生活の匂いを感じさせない、まるで天使が書いたような長調の作品は、モーツァルトが〈神の子〉であったことを伝えているが、暗い情熱が波打つ短調の作品は、モーツァルトがまぎれもなく苦悩する〈人間...

    [続きを読む](2011.06.29)
  • 果たしてそれは「革命」なのか 国内最大規模のクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」で、もしテーマがショスタコーヴィチになったらどうなるのだろう、と時々想像することがある。異様な熱気に覆われている会場内。モーツァルトやショパンの時は家族や恋人たちの憩いの場だったのに、「政治と芸術」「革命」を論じ合う場と化す屋外の休憩所。平年の数倍の割合を占める...

    [続きを読む](2011.06.22)
  •  ひとつ忘れられない思い出がある。2006年11月、サントリーホールでモーツァルトの交響曲第39番、第40番、第41番を聴いた時のことだ。3作とも有名すぎるほど有名な作品である。それをウィーンフィルが演奏する。こちらはさぞ魅惑的なモーツァルトが聴けるのだろうと期待する。しかし指揮者はアーノンクール。普通の演奏はしないだろう、という不安にも似た予感がふと脳裏を...

    [続きを読む](2011.06.18)
  • 青春のソング・ブック モーツァルトのオペラでまず有名なのは『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『魔笛』。これらはモーツァルトの三大オペラと呼ばれている。が、メロディーメーカーとしての彼のセンスが最も意気盛んに爆発しているのは『後宮からの誘拐』である。このオペラの中に織り込まれた20曲あまりの歌は、どれも表情豊かで美しい旋律によって編まれており、ポピュラー...

    [続きを読む](2011.05.13)
  • 20世紀のグレゴリオ聖歌 レクイエムというと、なんとなく縁起でもないことや異界的なものを思い浮かべてしまう人が一般的には多いようだ。おそらく「死者のためのミサ曲」とか「鎮魂曲」といった訳語がそんな連想を引き起こすのだろう。 しかし、本来レクイエムとは近寄りがたいものでも何でもなく、もっと実際的な効能を持つ音楽なのである。「死者のためのミサ曲」は、「死者に捧げ...

    [続きを読む](2011.05.02)
  •  カイルベルトについて語る時に決まって出てくる言葉は「質実剛健」「無骨」といったものばかり。渋いと評する人もいるが、それも褒め言葉ではなく単に「地味」「色気がない」の裏返しとして言っているだけ。これには本人のジャガイモみたいな風采も少しは影響しているのかもしれない。 そのイメージが変わってきたのはワーグナーの『指環』のバイロイト・ライヴ音源が発売されてからで...

    [続きを読む](2011.04.28)
  • ワルターからミンコフスキまで 名盤と呼ばれている録音は少なくない。長年、最高の「40番」とされてきたブルーノ・ワルター/コロンビア響の組み合わせを筆頭に、オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管、カール・ベーム/ウィーン・フィル、ヨーゼフ・カイルベルト/バイエルン放送交響楽団(ライヴ)などなど、どれも素晴らしい出来である。 ワルターならコロンビア響よりウィ...

    [続きを読む](2011.04.23)
  • モーツァルトの運命交響曲 交響曲第40番の第1楽章は、クラシック・ファンならずとも誰もが一度は耳にしたことがあるに違いない。あの哀愁漂う美しい主題は、モーツァルトの書いた数ある名旋律の中でも『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』と並んで最も知られているものであり、世界中の人から愛されている。この曲をテーマにした文章がこれまでにいったいどれだけ書かれたことだろう...

    [続きを読む](2011.04.18)
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