「アルフレッド・ヒッチコック」と一致するもの

  •  『暗闇にベルが鳴る』は1974年に公開されたカナダの作品で、原題は『Black Christmas』。クリスマスに女子寮で起こる陰惨な連続殺人を描いたスラッシャーものだ。今でもクリスマスにはこの映画を観るというファンが少なからずいるらしい。主演はオリヴィア・ハッセー。ほかにマーゴット・キダー、アンドレア・マーティン、キア・デュリア、ジョン・サクソンなどが出...

    [続きを読む](2016.05.05)
  •  マーガレット・ロックウッドは1940年代のイギリス映画を代表する女優である。当時、悪の魅力を撒き散らしたジェームズ・メイスンがゲインズボロー・ピクチャーズの王座にあるとするならば、ロックウッドは王妃の座にある。美貌も演技力も満点と言っていい彼女は、『バルカン超特急』(1938年)のヒロインとして名を馳せた後、『灰色の男』(1943年)や『妖婦』(1945年...

    [続きを読む](2015.12.08)
  •  テレサ・ライトには純情で明るくて一緒にいると楽しそうなアメリカ女性というイメージがある。肩のラインの高い服がよく似合い、肌の露出は少なめで、濃密な色気で男を降参させる感じではないが、可憐でほのかな色気を匂わせるところがかえって男心をくすぐる。かつて彼女のような女性とデートしたい、結婚したいと夢見ていた男性は多かった。日活出身でオペラ演出家の三谷礼二は、その...

    [続きを読む](2015.10.27)
  •  1940年代のイギリス映画界で、ジェームズ・メイスンは絶対的なカリスマであった。屈折した性格の役が似合い、陰のある悪役を演じても、エキセントリックな変質者を演じても、正義の看板を背負った登場人物たちより魅力を発散して、観る者に肩入れさせる。なめらかで艶のある声、ニヒルな笑み、ノーブルな物腰を武器に、主導権をとってしまうのだ。危険と言えば危険な魅力である。 ...

    [続きを読む](2015.05.09)
  •  ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『アンリエットの巴里祭』(1952年)に忘れられないシーンがある。誕生日の7月14日、洋服店に勤めているアンリエットは、恋人で報道カメラマンのロベールと会えるのを楽しみにしている。しかし、ロベールはデートにやって来て早々、「社長に呼ばれた」と言い、アンリエットを置き去りにする。社長のことは口実で、本当はサーカス団の花形リタに...

    [続きを読む](2015.03.13)
  • 夜のシーンを撮らせたら右に出るものなし キャロル・リードは夜を撮るのがうまい監督である。モノクロでは暗がりのシーンの映像が重くなりがちだが、リードの場合、むしろ精彩を帯びるから面白い。照明の加減が絶妙で、なんでもない魔法のように光と影を扱い、ひんやりとした夜風が感じられそうなほど雄弁な映像を作り出すのだ。初期の作品『星は見下ろす』(1940年)からもその特性...

    [続きを読む](2014.05.13)
  •  イギリス演劇史に名を残す名優、ジョン・ギールグッドが録音した『ハムレット』のレコードがある。何種類かあるようだが、私が持っているのは1957年に吹き込まれたもの。当時、ギールグッドは53歳。さすがに若々しさはないが、その音楽的な声(「絹にくるまれた銀のトランペット」と称えられた)を聞いていると、自然と『ハムレット』の世界に誘われる。ほかの俳優には模倣できな...

    [続きを読む](2013.02.02)
  •  ダフネ・デュ・モーリアの最高傑作は何かと問われたら、大半の人は『レベッカ』と答えるに違いない。そのきめ細やかな心理描写と緻密な構成の向こう側に広がるゴシック・ロマンのムードに魅了されない読者は、ほとんどいないだろう。また、この作品は様々な角度から読み解くことが可能であり、そこもまた魅力の一つとなっている。私なら、一度目は普通に読み、二度目は物語の語り手の主...

    [続きを読む](2012.01.07)
  •  マデリーン・キャロルは戦前のイギリスを代表する美人女優である。知的な美貌と確かな演技力を備え、声も美しく、英語の発音も綺麗だった。アルフレッド・ヒッチコック監督は彼女のことを気に入り、英国時代に撮った『三十九夜』『間諜最後の日』ではヒロイン役に起用している。ヒッチコックがブロンド・ビューティー(ジョーン・フォンテーン、グレース・ケリー、ティッピ・ヘドレンな...

    [続きを読む](2011.08.10)
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