「ピエール・ブーレーズ」と一致するもの
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聖金曜日に輝く聖杯 リヒャルト・ワーグナーの『パルジファル』は死の前年、1882年1月13日に完成され、7月26日にバイロイト音楽祭で初演された作品である。当初はバイロイト音楽祭のみで上演され、それ以外の場所での上演は禁じられていたが、1913年12月31日深夜に解禁され、世界各地で上演されるようになった。 ワーグナーがバイロイト以外での上演を望まなかったの...
[続きを読む](2015.09.23) -
完全無欠 ベートーヴェンの交響曲第5番は、1804年から1808年の間に作曲された。キンスキー=ハルムの作品目録によると、交響曲第3番「英雄」完成後に着手したが、交響曲第4番、ピアノ協奏曲第4番、ヴァイオリン協奏曲などの創作のため中断、1807年に再び取りかかり、1808年の早い時期に書き上げたという。作曲に費やした時間が実質的にどれくらいなのかは不明だが、...
[続きを読む](2015.08.13) -
世界が未だかつて耳にしたことがないようなもの マーラーの交響曲第3番は全6楽章、演奏時間に90分以上を要する大作である。ただ、渋滞感や退屈な部分は皆無で聴きやすく、最終的には聴き手を大きな幸福感で包み込む。あらゆる雑念を吸収し、世界を高みへと押し上げるような第6楽章の美しさが、この作品に存在する全ての要素を肯定させ、悲しみも苦しみも疲れも忘れさせるのだ。これ...
[続きを読む](2015.02.25) -
音による表現のエッセンス アントン・ヴェーベルンの「弦楽四重奏のための5つの楽章」は1909年に作曲された。作品番号は5。アルノルト・シェーンベルクのもとで研鑽を積んでいた頃、オペラの作曲計画が頓挫した後に起こった創作意欲の爆発を示す傑作である。まだ20代半ばだったヴェーベルンはここで調性的な世界から離れ、音の配列、強弱、音響、そして演奏法を徹底的に吟味し、...
[続きを読む](2014.07.25) -
「人間は深い淵だ。底をのぞくと目が回るようだ」 アルバン・ベルクの歌劇『ヴォツェック』は1914年に着手され、幾度かの中断を経て1922年に完成した。台本のベースとなっているのは、23歳で夭折した天才劇作家ゲオルク・ビューヒナーの『ヴォイツェック』。この舞台を観たベルクが、オペラ化するために自ら筆をとったのである。 ビューヒナーの劇は、実際にあった出来事から...
[続きを読む](2014.04.11) -
音楽と詩のデリケートな関係「その詩は、音楽家が無意識の間に作った詩のように思えるし、その音楽は、詩人が無意識の間に作った音楽のように思える。それほどの域に達している」 これはクロード・ドビュッシーのオペラ『ペレアスとメリザンド』を評したポール・デュカの言葉である。オペラというと、題材がドラマティックで、歌手たちが競うように声を張り上げて歌っているイメージを持...
[続きを読む](2012.10.27) -
20世紀に最も絶賛された前衛音楽の一つ ピエール・ブーレーズの『ル・マルトー・サン・メートル(主なき槌)』は、1955年6月18日に初演されて以来、戦後生まれた最も画期的な音楽の一つとして評価され続けている。あのストラヴィンスキーが寄せた「今の新しい時代、真に価値ある唯一の作品」という賛辞を筆頭に、賞賛の言葉は数限りなくある。ここまで多くの人に歓迎され、理解...
[続きを読む](2011.08.14) -
20世紀最大の天才作曲家 人は常にいくつかの感情を同時に抱え込んでいる。心が喜びだけで満たされる瞬間があったとしても、その状態は長く続いてはくれない。嬉しさの中には少しのわだかまりがあったり、安堵感の中には拭いきれない不安の影があったり、達成感の中には説明のつかない不満があったり......と相反するはずの感情が胸の内に共存しているものである。人間とは割り切...
[続きを読む](2011.02.10)