「小津安二郎」と一致するもの

  •  清水宏が名匠として高い評価を得ていたのは1930年代から1940年代前半のこと。珠玉のメロドラマも撮れば、青春物も撮る。「オフビート」的な作品も撮れば、シリアス物も撮る。「若大将シリーズ」の元ネタになった「大学の若旦那シリーズ」も撮る。その多才ぶりは尋常ではなかった。また、新人を育てる名人でもあり、彼のおかげでスターになった役者をざっと挙げても、田中絹代、...

    [続きを読む](2011.09.26)
  •  有馬稲子の美貌は宝塚時代から有名だった。ただ、その美しさには翳があり、笑顔の中にも愁いが漂っていて、それが単なる美人女優にはない複雑な魅力を彼女に付与している。東宝専属女優としての第1回主演作『ひまわり娘』を手がけた千葉泰樹監督も、有馬稲子の印象をこう語っていたという。「明るい感じの娘だと思っていたが、撮影が始まり、彼女を見つめていると、むしろ哀愁が濃いこ...

    [続きを読む](2011.07.23)
  •  ソフィスティケイテッド・コメディの達人、エルンスト・ルビッチはドイツで名声を確立した後、ハリウッドに招かれ、次々と洗練された恋愛映画を発表した。 セックス描写が御法度だった時代に、脱げた靴を見せるだけで部屋で何が起こっているかを想像させる。また、一歩間違えば愁嘆場になりかねないようなきわどいシーンにさしかかると、さっと場面を転換させる。さりげない視線の動き...

    [続きを読む](2011.02.11)
  •  若尾文子は手の届かない「低嶺(ヒクネ)の花」である。親しみやすく、誰にでも手の届きそうな雰囲気があるのに、周囲を見回しても、彼女のような女性を見つけることはまずできない。どこにでもいそうで、絶対にいない。それが、最初から縁がないと諦めることのできる「高嶺の花」に対するよりも、ある意味、烈しい渇望へとつながる。こんな恋人がほしい、こんな奥さんがほしい、こんな...

    [続きを読む](2011.02.10)
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