「マーラー」と一致するもの
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「悲愴」と「幻想」 チャイコフスキーの「悲愴」は1893年に書かれた最後の交響曲である。初演は1893年10月28日、作曲者自身の指揮によって行われた。「悲愴」という言葉に込められた真意は分かっていないが、弟のモデストが伝えるところによると、初演の後、作品の標題をどうするか、兄から相談を受けたという。モデストがまず提案したのは「悲劇的」だったが、却下された。...
[続きを読む](2015.10.07) -
美しきパノラマ ブルックナーの交響曲第6番は1879年9月に着手され、1881年9月3日に完成した。初演は1883年2月11日に行われたが、第2楽章と第3楽章が演奏されただけで、全曲が披露されたのは作曲家の死後、1899年2月26日のことである。その際、指揮を務めたのはグスタフ・マーラーだった。 1879年から1881年といえば、交響曲第4番「ロマンティック...
[続きを読む](2015.09.01) -
レパートリーの広さ ピエール・モントゥーについて書かれた文章を読むと、ロシア音楽が得意とか、ドイツ音楽が得意とか、母国フランスの音楽が最も得意とか、いろいろなことが書かれている。そこでいつも思う、「果たしてこの人に得意でない作品があったのだろうか」と。実際のところ、レパートリーが広かったことは、遺された音源が証明している。バッハからメシアンまで、時代にも国籍...
[続きを読む](2015.07.22) -
世界が未だかつて耳にしたことがないようなもの マーラーの交響曲第3番は全6楽章、演奏時間に90分以上を要する大作である。ただ、渋滞感や退屈な部分は皆無で聴きやすく、最終的には聴き手を大きな幸福感で包み込む。あらゆる雑念を吸収し、世界を高みへと押し上げるような第6楽章の美しさが、この作品に存在する全ての要素を肯定させ、悲しみも苦しみも疲れも忘れさせるのだ。これ...
[続きを読む](2015.02.25) -
扉 アンリ=ジョルジュ・クルーゾーの作品では、扉や門が凶兆を告げるシンボルとして用いられる。それは、単独でメガフォンを取った初の長編映画(それまでは共同監督で長編を数本撮っていた)『犯人は二十一番街に住む』(1942年)から一貫している。この映画は酒場のドアが開くカットで始まり、その後、殺人事件が次から次へと起こる。次作『密告』(1943年)では、墓地の門が...
[続きを読む](2015.02.19) -
人生の頂点にいる間に書かれた交響曲 マーラーの交響曲第5番は、1901年から1902年の間に作曲され、1904年10月18日に初演された。作曲開始から初演までの間に、マーラーはアルマ・シントラーと出会い、結婚した。長女マリア・アンナ、次女アンナ・ユスティーネも授かった。この時期のマーラーは、仕事にも恵まれていた。ただ、だからといって第5番が陽気で明快な作品か...
[続きを読む](2014.11.07) -
魅力的なライヴ音源 1975年に椎間板の大手術を受け、1978年に指揮台から落ちて脳卒中に見舞われた後は、健康状態の悪化やベルリン・フィルとの関係悪化(1981年に勃発した「ザビーネ・マイヤー事件」をきっかけに、カラヤンとオーケストラの間には大きな溝が生じた)に悩まされ、それを反映するかのように、統率力が以前よりも緩み、オーケストラの自発性を重んじる傾向が強...
[続きを読む](2014.10.04) -
青春の苦難と栄光 マーラーの交響曲第1番は1884年から1888年にかけて作曲され、1889年11月20日にブダペストで作曲者自身の指揮により初演された。 一時、この作品は全5楽章2部構成の「交響詩」として演奏され、それぞれの楽章には聴衆の理解を得るための標題が付けられていた。第1部は「青春の日々から。花、果実、いばらなど」。これは第1楽章「終わりなき春」、...
[続きを読む](2014.02.12) -
ウィレム・メンゲルベルクは19世紀末から20世紀半ばにかけて活躍したオランダの大指揮者であり、トスカニーニ、ワルター、フルトヴェングラーを含むいわゆる「四大巨匠」の一人である。彼は必要とあらば楽譜上の指示を自己流に変更し、お馴染みの作品から瞠目すべきニュアンスを引き出して音楽的効果を上げる達人だった。そのロマン主義的なスタイルと、細部の表現に徹底してこだわ...
[続きを読む](2013.12.11) -
「DSCH」の宣言 ショスタコーヴィチの交響曲第10番は、1953年の夏から秋にかけて作曲され、同年12月17日に初演された。1953年といえばスターリンが亡くなった年である。1948年以降、「ジダーノフ批判」にさらされていたショスタコーヴィチが8年ぶりに交響曲を作曲したのは、おそらく圧政者の死に触発されたためだろう。ただ、この作品をスターリンとスターリンの...
[続きを読む](2013.08.24)