「オットー・クレンペラー」と一致するもの
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美を紡ぐ23の弦楽器 23人のソロ弦楽奏者のための習作「メタモルフォーゼン」は、1944年に構想され、1945年3月13日から4月12日にかけて作曲された。当時リヒャルト・シュトラウスは80歳(誕生日は6月11日)。ガルミッシュの山荘に身を置いていた老作曲家は、戦況が悪化し、ミュンヘンやドレスデンやウィーンの歌劇場が爆撃を受けて破壊される中、筆をとり、失われ...
[続きを読む](2014.01.01) -
1830年に生まれた革命的交響曲 幻想交響曲が完成したのは1830年のことである。ベートーヴェンが世を去ってから3年しか経っていないのに、ここまで奇想天外な交響曲がフランスから生まれたという事実には驚嘆するほかない。しかも作曲当時、エクトル・ベルリオーズは26歳だったのである。 作曲の原動力になったのは恋である。若手の登竜門とされるローマ賞に挑戦して落選した...
[続きを読む](2013.11.26) -
「ガヴォットと6つのドゥーブル」を含む作品集 何度聴いても飽きないだけでなく、文字通り一日中繰り返し鳴り続けていても受け入れることが出来る音楽がある。ひとつの曲を延々リピートし、疲労や飽和を感じず音の波に耳を預けていられるというのは、よほど生理的・性質的に合っているのだろう。私にとってそういう音楽作品のひとつがラモーの「ガヴォットと6つのドゥーブル」である。...
[続きを読む](2013.10.17) -
巨人の創造物 交響曲第8番は1884年7月から1887年8月10日の間に作曲された。1884年といえば、ブルックナーが交響曲第7番で大成功をおさめ、キャリアの絶頂期を迎えた年である。彼は60歳になっていたが、その創作意欲は衰えることを知らず、ますます横溢していた。それは同年に完成した『テ・デウム』を聴いてもはっきりと分かるだろう。そして3年後、彼は生涯最大規...
[続きを読む](2013.09.16) -
歳月の重さと理念の重さ ヨハネス・ブラームスが交響曲第1番を完成させたのは1876年。「2台のピアノのためのソナタ」を交響曲に改作しようとして挫折したのが1855年頃なので、20年越しの念願成就ということになる。むろん、その間ずっと交響曲にかかりきりだったわけではないが、自らが世に出す最初の交響曲のことをブラームスはかなり重く考えていたようである。ベートーヴ...
[続きを読む](2013.07.01) -
ハイドン入門 1793年から1794年の頭にかけて作曲された「軍隊」は、「驚愕」と共に、数多あるハイドンの交響曲の入り口に控えている曲である。多くの人は、これらの作品からハイドンの音楽の森の中に足を踏み入れていく。ちなみに、「軍隊」という呼称はザロモン・コンサートでの初演時から使われているもので、第2楽章で打楽器(大太鼓、シンバル、トライアングル)が軍楽風に...
[続きを読む](2013.06.25) -
イリアとオクタヴィアン 『イドメネオ』のユリナッチは文句なしに素晴らしい。その声の美質を遺憾なく発揮している。役と声の間にここまで親和性を感じさせる例も珍しい。このイリアがいれば、ほかのイリアはいらない、といいたくなるほどだ。音質は1956年に録音されたものの方が良いが、ジョン・プリッチャードの指揮が緩いのが難点である。 ユリナッチの美質は、『蝶々夫人』(1...
[続きを読む](2013.02.25) -
「悲劇的」を超えて 一番最初に聴いたマーラーの交響曲は第7番だった、という人はどれくらいいるのだろう。おそらくそこまで多くないのではないか。私の場合、誰にいわれたわけでもなく、何のガイドブックを読んだわけでもなく、結果的に第7番を最後に聴いた。そして、大袈裟にいえば、これまでほかの交響曲に親しんできたのは、第7番の世界に入るための準備であったかのような気持ち...
[続きを読む](2013.02.12) -
高度な簡潔さ ハイドンの交響曲の中で、個人的に最も愛聴しているのは第88番ト長調「V字」である。有名な第94番ト長調「驚愕」、第100番ト長調「軍隊」、第101番ニ長調「時計」、第104番ニ長調「ロンドン」などもよく聴くが、「V字」にはハイドンの美質がきれいに無駄なく詰まっていて、聴きやすい。簡潔さの中に音楽的内容の充実度と自由度がある。非常に中毒性の高い作...
[続きを読む](2012.12.20) -
メロディー・メーカーとしてのバッハ バッハの4つの管弦楽組曲がいつ書かれたのか、はっきりしたことはわかっていない。ケーテン時代(1717年〜1723年)の作という説が有力ではあるが、第1番や第4番に関しては、それより後に作曲されたのではないかとみる人も多い。 また、「管弦楽組曲」というのも正式名称ではなく、当時は「序曲」と呼ばれていたらしい。なぜ「序曲」なの...
[続きを読む](2012.07.10)