「シューベルト」と一致するもの

  •  シャルル・ミュンシュが遺した録音に接していると、しばしばライヴを目の当たりにしているような気分になる。そこには生々しい臨場感がある。彼はその著作『私は指揮者である』の中で、「コンサートは毎回頭脳と筋肉と神経のエネルギーを信じられないほど消耗させる」と書いているが、そうした全力投球の姿勢はレコーディングでも変わらなかったに違いない。 ミュンシュは1891年9...

    [続きを読む](2011.04.08)
  • 交響曲作曲家としての真価 シューマンの名前を聞いて多くの人がまず思い浮かべる作品は、おそらく「クライスレリアーナ」「謝肉祭」「子供の情景」などのピアノ曲か、「詩人の恋」「女の愛と生涯」「ミルテの花」といった歌曲だろう。この分野での評価には揺るぎないものがある。だが、他方、交響曲の作曲家としてはそこまで評価されることがない。「シューマンは管弦楽の扱いが稚拙だっ...

    [続きを読む](2011.03.14)
  •  20世紀に活躍したスターたちを見送るのは辛いことである。これはクラシックのジャンルに限った話ではない。21世紀になり、自分たちが生まれる前から当然のように存在し、第一線で活躍していた人たちが、次々と寿命を迎えている。年齢を考えれば仕方ないことなのかもしれないが、そうと分かってはいても寂しい限りである。と同時に、偉大なる20世紀の巨星を見送るのが自分たちの世...

    [続きを読む](2011.02.26)
  •  完璧という言葉は、どこかお堅く隙のない、冷厳なイメージを人に与えがちである。「完璧は面白味がない」とも言われる。しかし、そこで揶揄されているものは、真の「完璧」ではない。柔軟さや奥深さ、大胆なところさえも含めて申し分のない時に、この言葉の意味は満たされる。 ジョージ・セルとは、まさにそういう音楽を手にした指揮者だった。彼は楽器間の音の配合に異常なまでに神経...

    [続きを読む](2011.02.15)
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