タグ「アドルフ・ヒトラー」が付けられているもの

  •  フランスの思想家ジョゼフ・ド・メーストルは、社会の秩序のためには刑吏(処刑人)の存在が不可欠であると考えていた。「あらゆる偉大さ、あらゆる権勢、あらゆる従属は、〈刑吏〉に基礎をおいている。彼は人間社会の恐怖であり、また、その鎖なのである。世界からこの不可解な存在を取り除いてみるがよい。たちどころに、秩序は混乱たる状態にかわり、王座はくつがえり、社会は消える...

    [続きを読む](2019.10.27)
  • ヘヴン17『ペントハウス・アンド・ペイヴメント』1981年作品 いわゆる「タイムレスネス」は、しばしば良質な音楽の条件に挙がる要素だ。しかし「(We Don't Need This)Fascist Groove Thang(こんなファシストのグルーヴはいらない)」と題された名曲が、リリースから35年も経った今もまるで昨日書かれたようなリアリティを醸すという事...

    [続きを読む](2016.10.26)
  •  アレック・ギネスは扮装の達人として知られた名優である。ジョン・ギールグッドに認められ、舞台で活躍し始めたのは22歳の頃。本格的に映画界に進出したのは30歳を過ぎてからのことで、デヴィッド・リーン監督の『大いなる遺産』(1946年)がデビュー作にあたる。その後、同監督の『オリヴァ・ツイスト』(1948年)のフェイギン役で巧みな扮装をみせ、注目を集めた。 扮装...

    [続きを読む](2016.01.27)
  • コラボラトゥールの死 1944年8月のパリ解放後、コラボラトゥール(対独協力者)に対する制裁が行われたことはよく知られている。私的制裁を含めると処刑されたのは約1万人とみられているが、10万人前後とする説もあり、正確な人数は分かっていない。逮捕され、裁判で死刑判決を受けた者は2071人(欠席裁判を除く)。そのうち768人が処刑され、残りは恩赦により減刑あるい...

    [続きを読む](2015.09.05)
  • 指揮者の中の王 アルトゥーロ・トスカニーニは19世紀後半から20世紀半ばにかけて君臨したイタリアの大指揮者である。彼の登場により指揮者の地位、オペラの上演スタイル、オーケストラの演奏表現の在り方は大きく変わった。かのオットー・クレンペラーが「指揮者の中の王」と呼ぶほどその影響力は絶大だった。トスカニーニは単に指揮棒を振るだけの人ではなく、音楽監督ないし芸術監...

    [続きを読む](2014.07.08)
  • 巧緻なるデフォルメ パウル・ヒンデミットの『ウェーバーの主題による交響的変容』は1943年8月に完成し、翌年1月にアルトゥール・ロジンスキ指揮のニューヨーク・フィルにより初演された。アメリカ時代、ヒンデミットは『キューピッドとプシュケ』、『エロディアード』、『シンフォニア・セレーナ』などを作曲しているが、それらの中で『ウェーバーの主題による交響的変容』は最も...

    [続きを読む](2014.05.02)
  •  オーストリアが生んだ天才監督フリッツ・ラングは、戦前から戦後にかけて誇張抜きに「傑作」と呼ぶに値する作品を多く撮った。普通の監督が1本でも完成させれば歴史に名を残せるような映画を何本も作っているのだ。その代表作を数本に絞ることは不可能に等しい。 ただ、それぞれ好みはあるにせよ、観る者をひれ伏させるようなラングの演出力と魔術的なビジュアル・センスが確かな強度...

    [続きを読む](2011.07.14)
  •  ハンス・クナッパーツブッシュは1888年3月12日、ドイツのエルバーフェルトに生まれた。幼い頃から音楽に親しみ、12歳の時に児童オーケストラを指揮、いつしかオペラ指揮者を夢見るようになる。親からは音楽の道に進むことを反対されるが、1908年、ボン大学で学業を修めることを条件に、ケルン音楽院に通う許しを得る。音楽院ではブラームスと親交のあったフリッツ・シュタ...

    [続きを読む](2011.05.10)
  •  2003年9月8日、101歳で亡くなったレニ・リーフェンシュタール。その劇的な生涯は、生前から様々な形で取り沙汰されてきたが、これからも決して明かされない秘密のようなものを包含したまま、否定的に、時に誇張され、人々に語り継がれてゆくことだろう。 舞踏家だったレニは、アーノルト・ファンク監督の山岳映画『聖山』で女優に転身した。初監督作は『青の光』。これを観て...

    [続きを読む](2011.04.27)
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