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  • 優劣をつけない 白鳥の小説は虚無的だと言われる。虚無とは便利な言葉である。そのように言っておけば、なんとなく白鳥の本質を言い当てたような気になれる。しかし、何がどう虚無的なのかはっきりしないし、批評として簡単すぎる。ここではなるべく具体的かつ簡潔に、白鳥文学の特徴を明示したい。 まず、白鳥の小説には甘さや哀れさがほとんどない。たとえ救いのない話でも、そこまで...

    [続きを読む](2024.10.17)
  •  2012年は安部ヨリミの『スフィンクスは笑う』が復刻され、安部公房の「天使」が発見された年である。安部公房が亡くなったのは1993年のこと。訃報に接した当時、私は学生だった。同級生に安部公房の熱狂的ファンがいて、「どれだけ安部公房のことが好きか」という話を延々聞かされたのを昨日のことのように覚えている。 あれからもう20年も経つのか、と時間の隔たりにぞっと...

    [続きを読む](2012.12.29)
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