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シモーヌ・シニョレはフランス映画界の第一線で活躍した名女優である。演じた役柄には一定の傾向があり、若い頃は娼婦や不倫の人妻の役が多く、中年になってからは貫禄のあるおばさん役で存在感を発揮した。40歳を過ぎても顔の皺を隠すことなく変に若作りしなかったことや、政治に関する発言を積極的にしていたことから、同性のファンも多かったようである。 初の大役は『宝石館』(...
[続きを読む](2017.02.04) -
コラボラトゥールの死 1944年8月のパリ解放後、コラボラトゥール(対独協力者)に対する制裁が行われたことはよく知られている。私的制裁を含めると処刑されたのは約1万人とみられているが、10万人前後とする説もあり、正確な人数は分かっていない。逮捕され、裁判で死刑判決を受けた者は2071人(欠席裁判を除く)。そのうち768人が処刑され、残りは恩赦により減刑あるい...
[続きを読む](2015.09.05) -
次作『美しき争い』は、『格子なき牢獄』の成功を受けて制作された。内容は姉妹の愛憎もの。共演は同じくアニー・デュコー、監督はレオニード・モギーである。コリンヌがアニー・デュコーと手を取り合って、街を駆け抜けるシーンが印象に残る。全体としては悲劇的な話だが、このわずか1分間、2人は演技の世界を逸脱している。スクリーンを飛び出して、どこかへ遊びに行きそうな気配が...
[続きを読む](2012.05.06) -
昔、京橋のフィルムセンターで初めて『格子なき牢獄』を観た時、客席を占めていたのはかなりの年配層だった。おそらくリアルタイムでこの映画を観た人たちだったのだろう。私はその日客席にいた誰よりも若かったと思う。しかし、スチル写真でしか見たことのない女優に寄せる期待は、誰にも負けないくらい高かった。伝説の女優をついにこの目で見ることができる、という興奮で胸が張り裂...
[続きを読む](2012.05.05) -
2003年9月8日、101歳で亡くなったレニ・リーフェンシュタール。その劇的な生涯は、生前から様々な形で取り沙汰されてきたが、これからも決して明かされない秘密のようなものを包含したまま、否定的に、時に誇張され、人々に語り継がれてゆくことだろう。 舞踏家だったレニは、アーノルト・ファンク監督の山岳映画『聖山』で女優に転身した。初監督作は『青の光』。これを観て...
[続きを読む](2011.04.27)