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  • 啓示的に響くコラール  セザール・フランクの「前奏曲、コラールとフーガ」は1884年に作曲され、1885年1月24日もしくは25日にマリー・ポアトヴァンによって初演された。フランクは若い頃ピアニストとして才能を開花させ、ピアノ曲も書いていたが、25歳の時(1847年)にオルガニストに転向した。それからは他の楽器のために書いた作品をピアノ用に編曲することはあっ...

    [続きを読む](2022.12.04)
  • 協奏曲は軽快に、華麗に モーリス・ラヴェルのピアノ協奏曲は1929年から1931年にかけて作曲され、1932年1月14日、マルグリット・ロンの独奏により初演された。奇しくもラヴェルは1929年に「左手のためのピアノ協奏曲」を書くように依頼され、そちらの作曲も行っていた(完成したのは「左手」の方が早い)。これまでピアノ協奏曲を完成させたことのない作曲家が、晩年...

    [続きを読む](2021.09.03)
  • 「もし踊るなら、相手は伯爵夫人でなければ」 ワルツは4分の3拍子の舞曲で、18世紀後半に普及し始めた。語源はwal(t)zen(回る、回転する)ではないかと言われている。この舞曲が広まったのは、1815年、リーニュ公に「会議は踊る、されど進まず」と評されたウィーン会議からで、以後ヨーゼフ・ランナーやシュトラウス・ファミリーのワルツ曲が爆発的な人気を得た。 ...

    [続きを読む](2020.07.03)
  •  ジャック・ティボーのヴァイオリンは甘い音がする。 でもフレージングや強弱の付け方が洗練されているので、べたつかず、すっきりとした後味を残す。古臭いと言われがちなポルタメントやヴィブラートの奏法も上品で優雅、時に官能的な艶を帯び、聴き手を魅了する。 協奏曲を弾く時も、小品を弾く時も、ティボーの解釈には理屈っぽさがない。作曲家に対する大げさな構えも感じられな...

    [続きを読む](2020.03.13)
  •  アルフレッド・コルトーの演奏は、音楽作品の中に広がる詩的世界を開示する。間の取り方やペダリングが独特で、詩を書くようにピアノを弾いていると言いたくなるほどロマンティックで豊かな音楽性がそこに湧き出ている。解釈とアーティキュレーションに磨きをかけながらも、いざ指が鍵盤にふれるとなった時、きらめく感性が発現し、理屈をこえたところで五線譜の縄から解放された音楽が...

    [続きを読む](2018.01.13)
  • 仮面をつけた音符たち ロベルト・シューマンの『謝肉祭』は1834年9月頃から1835年の間に作曲されたピアノ小品集で、作品番号は9。副題は「4つの音符による愛らしい情景」である。4つの音符とは、恋人エルネスティーネ・フォン・フリッケンの故郷アッシュの綴り「ASCH」を音名表記した「A、Es、C、H」。シューマンはこれらの文字が自分の名前の綴りに含まれているこ...

    [続きを読む](2016.04.08)
  • 幻想的な超絶技巧曲 モーリス・ラヴェルの『夜のガスパール』は、1908年に作曲され、1909年1月9日に初演された。作曲当初、ラヴェルが意識していたのは、難曲として知られるバラキレフの東洋的幻想曲「イスラメイ」で、これよりも難しいピアノ曲を書くと宣言し、実行に移した。 副題に「アロイジウス・ベルトランの散文詩によるピアノのための3つの詩」とあるように、インス...

    [続きを読む](2014.03.15)
  • ロマンティックでモダニスティック プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番は、とびきり美しい旋律を持っているばかりでなく、攻撃性や先進性も兼ね備えた傑作である。ロマンティックでモダニスティック。プロコフィエフらしい異能の才気が迸り、かつて存在しなかったようなサウンドフォルムを形成している。 作曲時期は1917年から1921年。ロシア革命の年に着手され、日本を経由し...

    [続きを読む](2013.10.31)
  •  アンドレ・クリュイタンスはフランス音楽のスペシャリストとして知られている。その指揮棒から生み出される音楽は、エレガント、粋、エスプリ、洗練、色彩感、香り高い、といった言葉を並べて説明されることが多い。しかし、それらの言葉はどこまで本質をついているのだろうか。使いようによってはどうにでも使える言葉を、日本人が抱いている「フランス」のイメージに絡めて使っている...

    [続きを読む](2011.07.21)
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