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ジャック・ティボーのヴァイオリンは甘い音がする。 でもフレージングや強弱の付け方が洗練されているので、べたつかず、すっきりとした後味を残す。古臭いと言われがちなポルタメントやヴィブラートの奏法も上品で優雅、時に官能的な艶を帯び、聴き手を魅了する。 協奏曲を弾く時も、小品を弾く時も、ティボーの解釈には理屈っぽさがない。作曲家に対する大げさな構えも感じられな...
[続きを読む](2020.03.13) -
ヴァイオリンが主役 完璧な技巧、創意溢れる演奏法、強烈なカリスマ性により多くの聴衆を魅了した天才ヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニは、その生涯に6曲から8曲のヴァイオリン協奏曲を作曲したと言われている。公式に出版されたのは第1番、第2番のみ。そもそもパガニーニ自身が己の演奏技法を印刷物として残すことを望まなかったため、作曲者が世を去ると共に、多くの作品も消...
[続きを読む](2018.07.07) -
ジノ・フランチェスカッティのヴァイオリンは聴く者を幸福な気分にさせる。その音は豊潤で、艶やかで、屈託がない。深刻ぶったところもない。心地よさを伴いながら耳の中にすべりこみ、鼓膜に浸透し、全身に行き渡る。深みが足りないとか、精神性に欠けるという人もいるが、根が明るく解放感に満ちたヴァイオリンにそんなものを求めるのは野暮というものである。 1902年8月9日、...
[続きを読む](2013.05.14) -
サラサーテのために サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番は、「ツィゴイネルワイゼン」の作曲者としても知られる名手パブロ・デ・サラサーテのために書かれた。ベートーヴェンがフランツ・クレメントのために、メンデルスゾーンがフェルディナンド・ダヴィッドのために、ブラームスがヨーゼフ・ヨアヒムのために、チャイコフスキーがレオポルト・アウアーのためにヴァイオリン協奏...
[続きを読む](2011.11.21)