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ジャン・ドラノワは「トリスタンとイゾルデ」の伝説を現代によみがえらせた『悲恋』(1943年)の監督である。この映画は大ヒットし、脚本を手がけたジャン・コクトーは、「ドラノワがいなければ私はどうなっていたことか...」と書いて当時35歳の若き才能を称えた。これにより一流監督の仲間入りを果たしたドラノワは、『しのび泣き』(1945年)、『田園交響楽』(194...
[続きを読む](2020.04.16) -
アラン・ドロンと組んだ3作品 『サムライ』はアラン・ドロンとの初顔合わせ作品で、メルヴィルの最高傑作と評されることもある。主人公は、鳥と心を通わせる無口な殺し屋ジェフ・コステロ。ドロンにうってつけの役だ。この『サムライ』以降、ドロンは単なる二枚目俳優の枠を越えて、渋味のある名優の仲間入りをしたといえる。 これはスーパーマン的な殺し屋の話ではない。ジェフ・コス...
[続きを読む](2013.09.24) -
ベッケルとメルヴィル 長編2作目の『恐るべき子供たち』が公開された後、ジャン=ピエール・メルヴィルは映画界から足を洗う決心をした。1950年のことである。当時、メルヴィルは疲れ切り、力尽きていた。そんな彼を再び映画に向かわせたのは、ジャック・ベッケルだった。「......そんな次第で〈シネアック=テルヌ〉のそばのビストロにいて、まさに出ようという時、店の奥か...
[続きを読む](2013.09.21) -
同情と共感をあてにしない映像作家 2003年製作のドキュメンタリー「『スリ』のモデルたち」で、マリカ・グリーンが興味深い発言をしている。ブレッソン映画に出た女優たちはお互いに攻撃的で、協調性がない、というのだ。「何かあるんだろうと思うわ。嫉妬というと語弊があるけど、おそらくそれぞれの親密な関係を守りたいんでしょうね。〈私とブレッソン〉という秘密の小さな花園を...
[続きを読む](2012.01.12) -
ジャン・コクトーはレオナルド・ダ・ヴィンチの系譜に属する最後の万能人である。詩、小説、戯曲、評論、絵画、陶芸、彫刻、舞台演出、映画監督、バレエ制作などなど、多方面で大きな功績を残した。人呼んで〈20の顔を持つ男〉。そんな彼にあえてひとつだけ肩書きを与えるとすれば、やはり詩人ということになるだろう。その溢れかえる才能から生まれたオブジェは、言ってみれば全て〈...
[続きを読む](2011.04.06)