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アレック・ギネスは扮装の達人として知られた名優である。ジョン・ギールグッドに認められ、舞台で活躍し始めたのは22歳の頃。本格的に映画界に進出したのは30歳を過ぎてからのことで、デヴィッド・リーン監督の『大いなる遺産』(1946年)がデビュー作にあたる。その後、同監督の『オリヴァ・ツイスト』(1948年)のフェイギン役で巧みな扮装をみせ、注目を集めた。 扮装...
[続きを読む](2016.01.27) -
ジュリー・クリスティはジョン・シュレシンジャー監督の『Billy Liar』(1963年)で注目された後、同監督の『ダーリング』(1965年)でオスカーを獲得し、デヴィッド・リーン監督の大作『ドクトル・ジバゴ』(1965年)のラーラ役で大きな成功を収めた。キャリアの初期がここまで華やかなものになると、あとは徐々にパッとしなくなるのが通例だが、彼女の場合、そ...
[続きを読む](2014.08.14) -
夜のシーンを撮らせたら右に出るものなし キャロル・リードは夜を撮るのがうまい監督である。モノクロでは暗がりのシーンの映像が重くなりがちだが、リードの場合、むしろ精彩を帯びるから面白い。照明の加減が絶妙で、なんでもない魔法のように光と影を扱い、ひんやりとした夜風が感じられそうなほど雄弁な映像を作り出すのだ。初期の作品『星は見下ろす』(1940年)からもその特性...
[続きを読む](2014.05.13) -
20世紀最初のロマンティック・コンチェルト 1897年3月に初演された交響曲第1番が大失敗に終わった後、ラフマニノフが強度の神経衰弱に襲われ、スランプに陥ったことはよく知られている。作曲への自信を失い、創作意欲も失った彼は、様々な治療法を試してみたものの、結局、何の効果も得られなかった。 転機が訪れたのは1900年。友人のすすめでニコライ・ダーリ博士の暗示療...
[続きを読む](2013.05.22) -
集中して観ることができる大作映画というのは、なかなか無いものである。大抵の場合、中だるみして、終わった後に必ず欠伸をしながらこう思う、「これが120分以内にまとまっていたらなあ」。 つまらない映画を延々と見せられるのは苦痛、はっきり言って拷問である。その苦しみを快楽に転換させることができるのは、出演者か監督の熱狂的なファンか、よほどのマゾである。上映時間が...
[続きを読む](2011.02.07)