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  • 協奏曲の録音 ギレリスのピアニズムには確かな造形感があり、胸に響く重量感、輝かしいまでの明晰さがある。しかし、グリーグの『抒情小曲集』で聴くことが出来るしっとりとした味わいと甘美さ、プロコフィエフの「束の間の幻影」で聴くことが出来る胸のすくような跳躍感や諧謔的な表現の巧さもギレリスの特性である。 若い頃(1930年代から1940年代にかけて)の録音を聴くとテ...

    [続きを読む](2014.04.23)
  •  ユリアン・シトコヴェツキーは32歳の若さで亡くなったソ連のヴァイオリニストである。彼のヴァイオリンの音色は暗闇を切り裂くような鋭さを持っているが、表現は硬軟自在。時に妖しい色彩を帯びてゆらめき、時に独特の切迫感で聴き手の胸を圧する。瞑目して耳を傾けていると、閉塞した世界の中で、生命力をみなぎらせる人間の息づかいが聞こえてくるようだ。それは絶対的にソ連という...

    [続きを読む](2014.03.05)
  •  夭折した天才は何かにつけ悲劇の主人公のように語られがちである。ウィリアム・カペルも例外ではない。不気味なエピソードも彼の人生に深刻な悲劇性を付与している。それは、彼がユージン・リストと共に占い師に運勢をみてもらったという話。その時、彼はこういわれた。「彗星のような経歴だろうが、真に望むものは手に入らない。そして30歳前に衝撃的な死をとげるだろう」ーーこの占...

    [続きを読む](2012.01.30)
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