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  • フィナーレまで驚異の連続 モーツァルトの『フィガロの結婚』は、1785年から1786年にかけて作曲され、1786年5月1日にウィーンのブルク劇場で初演された。その時は9回上演されただけで打ち切られたが、1787年にプラハで成功を収め、1789年にウィーンで再演された。それ以来、定番の演目として人々に親しまれるようになった。原作は1778年に書かれたボーマルシ...

    [続きを読む](2024.09.06)
  • ばらの使徒たち このオペラを知った十代の頃は、第二幕のオクタヴィアンとゾフィーの二重唱、第三幕のマルシャリンとオクタヴィアンとゾフィーの三重唱、オクタヴィアンとゾフィーの二重唱にばかり惹かれ、第一幕を理解できていなかった。劇的な動きをみせる第二幕や第三幕に比べると、第一幕は心理的であり、取り繕った世界の奥にあるマルシャリンの哀愁をきちんと汲み取れずにいたのだ...

    [続きを読む](2015.11.23)
  • イリアとオクタヴィアン 『イドメネオ』のユリナッチは文句なしに素晴らしい。その声の美質を遺憾なく発揮している。役と声の間にここまで親和性を感じさせる例も珍しい。このイリアがいれば、ほかのイリアはいらない、といいたくなるほどだ。音質は1956年に録音されたものの方が良いが、ジョン・プリッチャードの指揮が緩いのが難点である。 ユリナッチの美質は、『蝶々夫人』(1...

    [続きを読む](2013.02.25)
  • ウィーンのプリマドンナ セーナ・ユリナッチの歌声は、豊かで深みがあり、あたたかく、声域全体のトーンが安定している。そこには作品のエッセンスを聴き手の耳の奥、心の奥にまで確実に届ける恩寵のような力も備わっている。何度繰り返し聴いても飽きることのない声、安心してどっぷり浸ることが出来る声である。 1921年10月24日、ユリナッチは医師の娘としてトラヴニクに生ま...

    [続きを読む](2013.02.23)
  • チェボターリの後継者 美貌と美声と才能に恵まれ、究極の才色兼備を体現した名歌手である。早世したマリア・チェボターリの正当な後継者といってもいい。その声は艶があって美しいだけでなく、清潔感があり、しかも聴き手の耳を威圧することなく、ホールの隅々にまで響くような浸透性を備えている。レガートのなめらかさも特筆もので、歌い口に気品がある。そして歌詞の世界を、理智的な...

    [続きを読む](2012.11.28)
  • 聴いてすぐそれと分かる声 かつてEMIのプロデューサー、ウォルター・レッグはマリア・カラスについてこのように評した。「カラスは、偉大なキャリアを築くための必要条件、聴いてすぐそれと分かる声の持ち主だった」 偉大な歌手の定義はいろいろあるだろうが、「聴いてすぐそれと分かる声」(an instantly recognizable voice)を所有していることが...

    [続きを読む](2012.09.20)
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