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マーガレット・ロックウッドは1940年代のイギリス映画を代表する女優である。当時、悪の魅力を撒き散らしたジェームズ・メイスンがゲインズボロー・ピクチャーズの王座にあるとするならば、ロックウッドは王妃の座にある。美貌も演技力も満点と言っていい彼女は、『バルカン超特急』(1938年)のヒロインとして名を馳せた後、『灰色の男』(1943年)や『妖婦』(1945年...
[続きを読む](2015.12.08) -
1940年代のイギリス映画界で、ジェームズ・メイスンは絶対的なカリスマであった。屈折した性格の役が似合い、陰のある悪役を演じても、エキセントリックな変質者を演じても、正義の看板を背負った登場人物たちより魅力を発散して、観る者に肩入れさせる。なめらかで艶のある声、ニヒルな笑み、ノーブルな物腰を武器に、主導権をとってしまうのだ。危険と言えば危険な魅力である。 ...
[続きを読む](2015.05.09) -
夜のシーンを撮らせたら右に出るものなし キャロル・リードは夜を撮るのがうまい監督である。モノクロでは暗がりのシーンの映像が重くなりがちだが、リードの場合、むしろ精彩を帯びるから面白い。照明の加減が絶妙で、なんでもない魔法のように光と影を扱い、ひんやりとした夜風が感じられそうなほど雄弁な映像を作り出すのだ。初期の作品『星は見下ろす』(1940年)からもその特性...
[続きを読む](2014.05.13) -
ダフネ・デュ・モーリアの最高傑作は何かと問われたら、大半の人は『レベッカ』と答えるに違いない。そのきめ細やかな心理描写と緻密な構成の向こう側に広がるゴシック・ロマンのムードに魅了されない読者は、ほとんどいないだろう。また、この作品は様々な角度から読み解くことが可能であり、そこもまた魅力の一つとなっている。私なら、一度目は普通に読み、二度目は物語の語り手の主...
[続きを読む](2012.01.07)