タグ「レオニード・コーガン」が付けられているもの
-
1951年、エリザベート王妃国際音楽コンクールの開催が決まった際、ソ連政府の役人はスターリンから「必ず優勝を」と命令された。困った彼らは、国際コンクールでの優勝経験がある大演奏家ダヴィッド・オイストラフに相談した。「ソ連のヴァイオリニストの中で、誰なら優勝できるのか?」オイストラフは答えた。「レオニード・コーガンしかいない」――こうして当時27歳だったコー...
[続きを読む](2021.08.01) -
ロマンティックか神経症か チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、1878年に作曲され、1881年12月4日にウィーンで初演された。作曲から初演までの経緯は、ピアノ協奏曲第1番と似ている。チャイコフスキーはこれをロシアの大演奏家レオポルト・アウアーに弾いてもらおうと考えていたが、アウアーに「演奏不可能だ」と突き返された。そこへ手を差し伸べたのがモスクワ音楽院...
[続きを読む](2020.04.05) -
劇的に、ロマンティックに かつて名ヴァイオリニストたちが盛んに作曲し、人気を博していた時代があった。古くはコレッリ、ヴィオッティ、タルティーニ、パガニーニ、シュポーア、19世紀生まれだと、ヴィエニャフスキ、サラサーテ、イザイ、エネスコなどの作品は、今でも演奏され、聴衆を魅了している。 1820年、ベルギーに生まれたアンリ・ヴュータンは、パガニーニやシュポーア...
[続きを読む](2019.08.10) -
協奏曲の録音 ギレリスのピアニズムには確かな造形感があり、胸に響く重量感、輝かしいまでの明晰さがある。しかし、グリーグの『抒情小曲集』で聴くことが出来るしっとりとした味わいと甘美さ、プロコフィエフの「束の間の幻影」で聴くことが出来る胸のすくような跳躍感や諧謔的な表現の巧さもギレリスの特性である。 若い頃(1930年代から1940年代にかけて)の録音を聴くとテ...
[続きを読む](2014.04.23) -
ユリアン・シトコヴェツキーは32歳の若さで亡くなったソ連のヴァイオリニストである。彼のヴァイオリンの音色は暗闇を切り裂くような鋭さを持っているが、表現は硬軟自在。時に妖しい色彩を帯びてゆらめき、時に独特の切迫感で聴き手の胸を圧する。瞑目して耳を傾けていると、閉塞した世界の中で、生命力をみなぎらせる人間の息づかいが聞こえてくるようだ。それは絶対的にソ連という...
[続きを読む](2014.03.05)