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  •  若い頃のカルロ・マリア・ジュリーニについて、プロデューサーのウォルター・レッグは、「彼が最も必要としたものはレパートリーだった」と書いている。しかし、ジュリーニは限られたレパートリーでも特に不自由することなく、自分がきちんと理解している作品しか指揮せず、やがて誰もが認める巨匠となった。 人柄は誠実で、権力欲もなかった。ジュリーニが誰かとポストを争って蹴落...

    [続きを読む](2020.08.02)
  • 相反する評価 ヘルベルト・フォン・カラヤン生誕100周年の折、仕事の関係で、私は可能限り伝記や評論に目を通した。この指揮者に関する資料は多すぎるほど多く存在する。賛美に徹したものもあれば、批判に徹したものもある。しかし、そこに記されている評価のポイントは大体において同じである。それを肯定するか否定するかの違いが溝を生んでいるのだ。その最大のポイントは、性格的...

    [続きを読む](2014.10.02)
  • 急進性が生む音楽的スリル ベートーヴェンが完成させた9つの交響曲のうち、第8番だけは誰にも献呈されていない。この事実は誰かのために作曲されたわけではないことを意味するのだろうか。それとも献呈する相手がいなくなったことを意味するのだろうか。 作曲時期は1812年。第7番をほぼ書き上げた後、保養地テープリッツ滞在中に着手し、年内に完成させたとみられている(初演は...

    [続きを読む](2014.08.04)
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