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吉村公三郎監督によると、初めて品川駅で「美しい少女」を見かけた時、「あんな娘が女優だったらなあ」と仕事仲間と語り合っていたという。その後、彼女が松竹大船撮影所でダンスを教えている先生だと知ると、吉村監督とスタッフたちは稽古場に押しかけ、映画に出演するよう口説いた。とはいえ、相手は素人である。演技指導のやり方は、「少し上を向いて、目線は数センチ下にして」と...
[続きを読む](2020.11.01) -
美しさと力強さと情緒 日本映画の斜陽期と言われた厳しい時代に、時代劇の伝統を守りながら独自の演出スタイルを貫き、数々の傑作を世に送り出したのが加藤泰である。東映の監督なので、大衆向きの映画を多く手掛けているが、安易に作られた駄作はない。どんな題材であっても妥協せず、美しさと力感と情緒に溢れた作品に仕上げるのが彼の信条だ。 代表作を5本挙げるなら、中村錦之助主...
[続きを読む](2020.05.15) -
鉄火肌とか伝法肌という言葉を目にすると、伏見直江という女優の顔が脳裏に浮かぶ。今日観ることのできる僅かなフィルム、少なからぬスチル写真、いくつかの映画評が、「鉄火肌=伏見直江」というイメージを私の中に作り上げたのだろう。いろいろ調べてみると、実際の彼女もイメージを裏切らない人だったようで、男の子として育てられたこともあり、性格は男勝り、しかも美貌であったこ...
[続きを読む](2014.11.13) -
溝口作品が置かれた状況 溝口健二監督の作品は半分以上現存していないと言われている。初期の『813』(1923年)や『血と霊』(1923年)はもちろん、サイレント時代に高く評価された『紙人形春の囁き』(1926年)も『狂恋の女師匠』(1927年)も観ることはできない。同時代人による論評とスチル写真から、どんな映画だったのか想像をふくらませるほかないのだ。サイレ...
[続きを読む](2014.09.20)