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  • 生まれることも、死ぬことも 1960年の『笛吹川』は戦国時代を舞台にした映画だが、話の中心人物は武将ではなく、農民である。戦が当たり前のように繰り返されている日常。功名心にはやる農民は、家を捨てて戦場へ向かい、武勲を立て、束の間慢心するが、良い時は続かず、まもなく戦死する。時が経てば、今度は次世代の若者が戦場へ行き、同じように武勲を立て、そして殺される。さら...

    [続きを読む](2012.08.03)
  • 『二十四の瞳』の涙 社会生活を送っていく中で、意思と行動を一致させるのは容易なことではない。いいたいと思ってもいえない、怒りをぶつけたいと思ってもぶつけられない、復讐したいと思っても復讐できない、逃げたいと思っても逃げられない、という人が大半である。欧米では合理性を以て筋を通せることも、日本で同じようにできるとは限らない。木下惠介監督は、そういう日本人の環境...

    [続きを読む](2012.08.01)
  •  日本の監督で、女優の魅力を引き出すのが最もうまいのは誰か。この問いに対し、成瀬巳喜男や木下惠介と答える人は、おそらく吉村公三郎の名前を知らないか、忘れている。成瀬も木下も女心のひだを撮る名手として知られているが、起用する女優は大体いつも同じだった。しかし、吉村は全くタイプの異なる女優を次々と主役に据え、その持ち味を発揮させる、まさに「女優映画」の達人だった...

    [続きを読む](2011.03.25)
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