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男と女の心理の深みに 室生犀星の晩年に連載・刊行された『かげろうの日記遺文』は、それまでに40作以上書かれた「王朝もの」の掉尾を飾る傑作である。1959年に野間文芸賞を受賞した時、銓衡委員の一人、亀井勝一郎は次のように評した。「女びとなるものへの、これほど夢ふかい作品を私は知らない。ちょっと読みにくい文章だが、それが何か薄明のやうな光りを放って、時に執念は凄...
[続きを読む](2019.06.14) -
高山樗牛は美文で鳴らした明治の評論家で、生前大いに注目を集めたが、若くして健康を害し、1902年に31歳で亡くなった。現在では、坪内逍遥、森鴎外、内村鑑三に噛みついていた論争家、匿名で『瀧口入道』を書いた小説家、圧倒的な美文家として、文学史に名をとどめている。 樗牛を美文家と評するとき、そこには「文章は美しいけど思想は浅い」という皮肉もしばしば含まれる。没...
[続きを読む](2016.04.30) -
生田長江は大正時代に活躍した評論家であり、女性による文芸誌『青鞜』の企画者である。翻訳家としても有名で、彼の訳したニーチェ全集が日本の思想界に及ぼした影響は計り知れない。ダヌンツィオの『死の勝利』を訳し、若者たちを熱狂させたのも長江である。ダンテの『神曲』、ツルゲーネフの『猟人日記』、フローベール『サラムボオ』なども訳している。ほとんどは英語からの重訳で、...
[続きを読む](2011.11.26)
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