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将棋を題材にした小説は多い。エッセイやノンフィクションを含めると相当な数に上る。昔の作家には将棋好きが沢山いて、プロ棋士との交流も盛んだったようだ。小説の筋運びと将棋の駒運びにはどこか通じ合うものがあるのかもしれない。作家が将棋について語った名言もある。最も有名なのは、菊池寛の「人生は将棋なり」と「人生は一局の棋なり。一番勝負なり。指し直すこと能はず」で、...
[続きを読む](2021.12.15) -
八雲恵美子といえば、戦前の松竹蒲田を代表するスター女優である。単に美人の枠で括ることが憚られるほどの美人で、「夜光珠の如き美しさ」と評されたこともあるが、映画の中ではしばしばドラマティックな役を演じ、その整った美貌に女性らしい深い情を滲ませて、観客を魅了した。小津安二郎監督の『その夜の妻』(1930年)や『浮草物語』(1934年)を観ても、情熱的な芯を持っ...
[続きを読む](2014.12.19) -
大学時代、天野勝文先生の「現代マス・コミュニケーション論」という講義を受けていた。当時、私の主専攻は日本文学。ただ、情報文化の世界にも興味を持っていたので、その講義にはマジメに出席していた。 ある日、天野先生主宰の課外ゼミが行われる、というニュースを友人から聞き、参加することにした。ゼミの名前は、天野子屋。そこで私を含む20人ほどの生徒は、毎回与えられるお...
[続きを読む](2012.09.22) -
龍膽寺雄と書いて「りゅうたんじ・ゆう」と読む。「りんどうじ・ゆう」でも「りんどう・てらお」でもない。龍胆寺雄、竜胆寺雄と記されることも多い。 昭和初期に活躍したこの作家の名前を、今どれくらいの人が知っているだろうか。私が学生だった20年ほど前は「再評価の機運が高まっている」などと言われていたものだが、それからどうも尻すぼみになってしまったような気がする。 ...
[続きを読む](2011.03.26)