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  •  昭和2年、雑誌『改造』が改造社創立十周年を記念する懸賞創作募集の告知を載せた際、1330編の作品が寄せられた。翌年、一等作品として十周年記念号(昭和3年4月号)に華々しく掲載されたのは、龍膽寺雄の小説「放浪時代」。モダンガールを登場させ、当時の風俗を活写したこの作品は「思想がない」と批判されながらも、大きな話題をさらった。 その反響(改造編集部は「百萬讀者...

    [続きを読む](2018.06.16)
  •  1990年9月、龍膽寺雄は「墓を造る」を執筆した。この作品は翌年4月の『湘南文学』創刊号に掲載、それから1年あまり経った1992年6月3日、心不全でこの世を去った。「墓を造る」にはその題名通り丹沢山の裾に墓を造ったことが記されている。ほかにも大好きだというギボウシの花にまつわる思い出、慶大生の頃にアインシュタインに会ったこと、神様に「貸し」を作る生き方など...

    [続きを読む](2011.04.09)
  •  再評価の動きが出始めたのは1970年代のことである。川端康成の死(1972年4月16日)から1年ほど経った1973年3月、中央大学の古俣裕介氏が論文「龍膽寺雄ノート」を発表。その辺りから見直しが進み、1980年代半ばには昭和書院から全集が出た(全集といっても完全なものではなく、いわゆる〈カストリ雑誌〉に書いたものは収録されていない)。 この全集の月報で、若...

    [続きを読む](2011.04.02)
  •  龍膽寺雄と書いて「りゅうたんじ・ゆう」と読む。「りんどうじ・ゆう」でも「りんどう・てらお」でもない。龍胆寺雄、竜胆寺雄と記されることも多い。 昭和初期に活躍したこの作家の名前を、今どれくらいの人が知っているだろうか。私が学生だった20年ほど前は「再評価の機運が高まっている」などと言われていたものだが、それからどうも尻すぼみになってしまったような気がする。 ...

    [続きを読む](2011.03.26)
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